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国際雲図帳1930年版について
1930年版の国際雲図帳には今のような一覧表形式の
「雲の分類表」は添付されていません。
そこで、当時の国際雲図帳の記述をもとに
わぴちゃんが独自に分類表形式に作成してみました。
なお分類表中の日本名は
「雲・増補版」(藤原咲平1944)をもとにしています。
以下は当時の知見を再現したもので、
現在の知見とは異なる点が多々ありますので、
参考程度に見ていただければと思います。
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1930年版の雲分類
階級 |
類 別 |
類 |
略号 |
細分類 |
a |
b |
c |
A |
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○ |
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巻雲
Cirrus |
Ci. |
■種 species |
|
■変種 varieties |
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斑状巻雲
Cirrus floccus |
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背状巻雲
Cirrus vertebratus |
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○ |
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巻積雲
Cirrocumulus |
Cicu. |
− |
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○ |
巻層雲
Cirrostratus |
Cist. |
■種 species |
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霧状巻層雲
Cirrostratus nebulosus |
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線状巻層雲
Cirrostratus filosus |
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B |
○ |
○ |
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高積雲
Altocumulus |
Acu. |
■亜類 sub-genera |
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■種 species |
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積雲性高積雲
Altocumulus cumulogenitus |
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■変種 varieties |
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積雲状高積雲
Altocumulus cumuliformis |
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羊状高積雲
Altocumulus floccus |
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塔状高積雲
Altocumulus castsllatus |
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莢状高積雲
Altocumulus lenticularis |
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○ |
高層雲
Altostratus |
Ast. |
■亜類 sub-genera |
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半透明高層雲
Altostratus translucidus |
|
不透明高層雲
Altostratus opacus |
|
降下高層雲
Altostratus precipitans |
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|
C |
○ |
○ |
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層積雲
Stratocumulus |
Stcu. |
■亜類 sub-genera |
|
半透明層積雲
Stratocumulus translucidus |
|
不透明層積雲
Stratocumulus opacus |
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■種 species |
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夕暮層積雲
Stratocumulus vesperalis |
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積雲性層積雲
Stratocumulus cumulogenitus |
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○ |
層雲
Stratus |
St. |
− |
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|
○ |
乱層雲
Nimbostratus |
Nbst. |
− |
D |
○ |
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積雲
Cumulus |
Cu. |
■種 species |
|
低積雲
Cumulus humilis |
|
雄積雲
Cumulus congestus |
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|
○ |
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積乱雲
Cumulonimbus |
Cunb. |
■種 species |
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鐡砧積乱雲
Cumulonimbus calvus |
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朝顔積乱雲
Cumulonimbus capillatus |
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※International Atlas of Clouds and of States of the Sky(WMO 1930)と、
「雲・増補版」(藤原咲平1944) の情報をもとに、独自に作成した表です
階 級(family)
1930年版の雲分類は、雲の浮かぶ高さをもとにした
階級(Family)がA〜Dのアルファベット記号で記されていました。
FamilyA(high cloud)が今でいうところの上層雲、
FamilyB(middle clouds)は中層雲、
FamilyC(high cloud)は下層雲、
FamilyD(clouds with vartical development)は対流雲に相当します。
ただ、高度の基準値が今とは異なります。
記号 |
区 分 |
意 味 |
A |
high clouds |
高度6,000m以上 |
B |
middle clouds |
高度2,000m〜6,000m |
C |
low clouds |
高度2,000m以下 |
D |
clouds with vartical development |
高度500m〜巻雲の浮かぶ高さ |
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乱層雲は今は中層雲だけど、
1930年版では
FamilyC(lowcloud;今の下層雲)に
分類されていたんだね。 |
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類別記号(form)
1930年版までは、雲の形をおおまかに
3つのタイプに分けた類別記号(form)も記されていました。
以下の通り、a〜cの3つのタイプがありました。
記号 |
区 分 |
対応する雲の種類 |
a |
積雲性で垂直方向に発達
→積雲系(もくもくと上に発達) |
|
b |
扁平・層状だが分離性
繊維、帯状、羊状になる
→高積雲など |
|
c |
連続した層状
→層雲系(べたっと広がる) |
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雲の分類表(1930年版)
1930年版では、上記とは別にいくつかの
変種などがピックアップされています。
これらはprincipal varieties、causual varieties、
supplementary charactersの3つのカテゴリーに分けて紹介されています。
そのうち、principal varietiesとcausual varietiesは以下のとおりです。
■Principal Varieties さまざまな雲形に見られるもののうち主なもの |
和 名 |
名 称 |
略号 |
説 明 |
雲烟 |
Fumulus |
Fum. |
とても薄くてほとんど見えないような雲 |
莢状雲 |
Lenticularis |
Lent. |
現行のレンズ雲と同じ |
類積雲 |
Cumuliformis |
Cuf. |
現行の塔状雲と同じ。
ただし房状雲も含まれている可能性あり |
乳房雲 |
Mammatus |
Mam. |
現行の乳房雲と同じ。スペルは異なる |
波状雲 |
Undulatus |
Und. |
現行の波状雲と同じ |
放射雲 |
Radiatus |
Rad. |
現行の放射状雲と同じ |
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■Casual Varieties たまに見られるもののうち主なもの |
和 名 |
名 称 |
略号 |
説 明 |
鈎状雲 |
Virga |
- |
現行の尾流雲と同じ |
被状雲 |
Pileus |
- |
現行の頭巾雲と同じ。
ベール雲も含まれていた可能性あり |
砧状雲 |
Incus |
- |
現行のかなとこ雲と同じ |
弧状雲 |
Arcus |
- |
現行のアーチ雲と同じ |
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※International Atlas of Clouds and of States of the Sky(WMO 1930)と、
「雲・増補版」(藤原咲平1944) の情報をもとに、独自に作成した表です
またsupplementary characters、
つまり補足的な形質として、
ベール状の雲(巻層雲と高層雲)の場合、
その厚さスケール(0〜4)と、雲に最も厚みのある方角
大気光象(ハロ、光環、彩雲など)
空全体に占める雲の量
が挙げられています。
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前バージョン(1910年版)とのちがい
1930年版の前身となる1910年版はわぴちゃん自身入手できておらず、
原著にあたれていないのですが「雲・増補版」(藤原咲平1944)にて、
1930年版とのちがいがふれられていました。
また1930年版の国際雲図帳にも、改訂事項がふれられているので、
それをもとに以下にまとめておきたいと思います。
今後、新しいことが分かれば随時追加・訂正していきたいと思います。
類(10種雲形)
(1)10種雲形の種類自体は変更はないものの、
その雲の定義にさまざまな変更が加えられているようです。
(2)1910年版は巻雲、巻層雲、巻積雲…の順番だったものが、
1930年版では、巻層雲と巻積雲が入れ替わり、
巻雲、巻積雲、巻層雲…となっています。
(3)国際名称の表記で、1910年版はハイフンでつないでいたものが、
1930年版では1つの単語となりました。
(4)Nimbus(乱雲)→Nimbostratus(乱層雲)に表記が変更となりました。
(5)国際記号(略号)の表記のしかたが変わりました。
(6)巻積雲が中層雲から上層雲に変更になりました。
(7)10種雲形の類別(form)が、2つから3つになりました。
記号 |
1930年版 |
1910年版 |
a |
積雲性で垂直方向に発達
→積雲系(もくもくと上に発達) |
塊状になるもの |
b |
扁平・層状だが分離性
繊維、帯状、羊状になる
→高積雲など |
扁平または層状になるもの |
c |
連続した層状
→層雲系(べたっと広がる) |
− |
※以下、新旧対照表です。上段の新が1930年版、下段の前が1910年版です。
日本名
/日本記号 |
国際名 |
国際
記号 |
階 級 |
類 別 |
巻 雲
C |
|
|
|
|
巻積雲
CK |
新 |
Cirrocumulus |
前 |
Cirro-cumulus |
|
|
|
|
巻層雲
CS |
新 |
Cirrostratus |
前 |
Cirro-stratus |
|
|
|
|
|
高積雲
KC |
新 |
Altocumulus |
前 |
Alto-cumulus |
|
|
|
|
高層雲
SC |
新 |
Altostratus |
前 |
Alto-stratus |
|
|
|
|
|
層積雲
SK |
新 |
Stratocumulus |
前 |
Strato-cumulus |
|
|
|
|
乱層雲
N |
|
|
|
|
層 雲
S |
|
|
|
|
|
積 雲
K |
|
|
|
|
積乱雲
KN |
新 |
Cumulonimbus |
前 |
Cumulo-nimbus |
|
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上の表に出てくる日本記号は、
かつて国内で使われていた略号だよ。
現在は、この日本記号は
使われていないので参考程度に見てね。 |
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種と変種
細分類の種と変種が追加になっているようですが、
この詳細は現在調査中です。
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2023年9月22日最終更新 |
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