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上に向かってもくもくのびる雲で、晴れた日に多い。
大気の状態が不安定なときは、発達して積乱雲になることも
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積雲の全体的なお話
水蒸気を含んだ「空気のかたまり」が、強い上昇気流とともに空高く持ち上げられた結果できる雲です。
晴れた日によく見られる雲です。
それは日射の影響で地面付近の気温が急速に高くなるからです。太陽の光はまず地面を暖めます。次に暖められた地面からの熱により、地表付近の空気も暖かくなります。空気は暖められると軽くなるため、ぷかぷかと上昇し、やがて積雲をつくりだすのです。
その他、上空に強い寒気が流れ込む、下層に湿った暖かい空気が流れ込むなどの理由で、大気の状態が不安定になったときも、強い上昇気流が発生するため、それによって積雲や積乱雲が発生しやすくなります。
雲の輪郭ははっかりしており、もくもくと上に向かって成長していきます。雲底はおおむね平らで、ふつう陰影のため黒っぽく見えます。もくもくとした外観を綿に見立ててわたぐも、積み上がるように上へと成長していくことからつみぐもとも呼ばれます。
積雲の雲底は対流圏下層(2000m以下)にあるため、WMOは下層雲に分類しています。ただふつうの下層雲とは異なり、もくもくと上に向かって成長する性質があるため、雲のてっぺんは対流圏中層〜上層にまで達することがあります。
安定した晴天時の積雲はあまり背が高くならがに崩れていきます。
一方で大気の状態が不安定なときの積雲はどんどん成長し、とても背が高くなります。これが積雲の雄大雲(雄大積雲)で、ときにシャワーのような雨(低温時は雪や雪あられ)を降らせます。積雲の雄大雲(雄大積雲)は入道雲とも呼ばれます。積雲の雄大雲がさらに発達して、雷を伴うようになったものが積乱雲です。
ふつう水滴からなる雲ですが、気温がとても低い時期には、氷晶が多く混じることがあります。氷晶の多い積雲は、あまりもくもく感がなく、ぼやけたり毛羽立ったりしたような姿になります。積雲の氷晶によってハロができることもあります。
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日本名 |
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俗 称 |
わたぐも
つみぐも |
別 名 |
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国際名 |
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高 度 |
雲底は
2,000m
以下 |
極域(雲底) |
2,000m以下 |
熱帯(雲底) |
2,000m以下 |
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色の幅 |
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陰 影 |
あり |
雲の粒 |
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光の
現象 |
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降 水 |
雨 |
○ |
霧 雨 |
− |
雪 |
○ |
霧 雪 |
− |
雪あられ |
○ |
ひょう |
− |
氷あられ |
− |
凍 雨 |
− |
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発 雷 |
− |
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積雲の細分類について
積雲には、4つの種(扁平雲、並雲、雄大雲、断片雲)、1つの変種(放射状雲)、
5つの補足雲形(尾流雲、降水雲、アーチ雲、波頭雲、漏斗雲)、
3つの付属雲(頭巾雲、ベール雲、ちぎれ雲)の存在が認められています。
なお波頭雲は国際雲図帳2017年版で新たに追加されたものです。
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積雲の種(specia)のうち
扁平雲、並雲、雄大雲は、
成長段階による形のちがい
で分けられたものです。
積雲の雄大雲が
さらに発達して、
雷を伴うようになると、
積雲から積乱雲へと
雲形が変わります。 |
以下、それぞれの雲の名前の横にある マークをクリックすると
各細分類のページに飛びます(※マークの無いものは準備中)
種(specia) |
扁平雲(humilis) |
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発生して間もない積雲。
横長で平らなかたちのもの |
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並雲(mediocris) |
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雲の幅と高さが
だいたい同じくらいの積雲 |
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雄大雲(congestus) |
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大きく成長した積雲。
もくもくと空高くそびえ立つ |
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断片雲(fractus) |
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強い風によってかき乱され、
断片状になったもの |
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変種(varieties) |
放射状雲(radiatus) |
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遠近効果の影響で
雲が放射状に広がって見える状態 |
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補足雲形(supplementary features) |
尾流雲(virga) |
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雲から尾(降水すじ)がのびる。
降水は地上には到達しない |
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降水雲(praecipitatio) |
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雲からの降水(雨、雪、凍雨)が
地上に到達している状態 |
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アーチ雲(arcus) |
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雲底に接するようにできる
細長い土手のような雲 |
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波頭雲(fluctus)※ |
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ケルビン-ヘルムホルツ波の影響で
雲の縁がくるんと巻く |
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漏斗雲(tuba) |
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雲底からのびる雲の渦巻。
紐や「漏斗の先」のような形になる |
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付属雲(accessory clouds) |
頭巾雲(pileus) |
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積雲のてっぺんに
頭巾をのせたような雲ができる |
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ベール雲(velum) |
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積雲のまわりにできる長い雲の帯。
頭巾雲とは異なり寿命が長い |
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ちぎれ雲(pannus) |
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雲の下に「断片状の雲」が
流れている状態 |
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積雲の母雲とSpecial clouds
積雲の発生母雲になるものとして、
高積雲と層積雲が挙げられています。
高積雲、層積雲ともに、
塔状雲が大きく成長して積雲になることがあります。
積雲の変化母雲になるものとしては、
層積雲と層雲が挙げられています。
層積雲、層雲ともに、雲の性質が次第に変化して
積雲へと姿を変えることがあります。
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層雲から積雲への変化(Cu stmut)は、
早朝の内陸部でよく見られるよ |
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それから、special cloudsとして、
熱対流雲(flammagenitus ; flgen)と人為起源雲(homogenitus ; hogen)、
しぶき雲(cataractagenitus ; cagen)が挙げられています。
熱対流雲は、火山噴火、火災などをきっかけにできる積雲や積乱雲です。
噴火や火災による熱が空気を強く暖め、
そのときにできる上昇気流が雲をつくります。
人為起源雲は人間活動に伴ってできる雲の総称です。
人間活動に伴う積雲は、主に工場などの排気からつくられます。
しぶき雲は、滝つぼの周辺にできる積雲や層雲です。
滝つぼ周辺の空気は、滝の勢いで引きずり降ろされるように下降します。
そしてその近くで、下降した空気を補うための上昇気流が発生し、
上下方向の空気の循環ができあがります。
この空気の循環に伴う上昇気流が、
滝しぶきから蒸発した水蒸気を材料に雲をつくることがあり、
これをしぶき雲と言います。
以下、それぞれの雲の名前の横にある マークをクリックすると
各細分類のページに飛びます(※マークの無いものは準備中)
発生母雲(genitus) |
高積雲から発生
(altocumulogenitus ; acgen) |
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高積雲の塔状雲が
大きく成長してできた積雲 |
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層積雲から発生
(stratocumulogenitus ; scgen) |
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層積雲の塔状雲が
大きく成長してできた積雲 |
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熱対流雲
(flammagenitus ; flgen) |
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火災や火山噴火などの熱によって
大気が強く加熱されてできる積雲 |
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人為起源雲
(homogenitus ; hogen) |
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工場の排気など人間活動に伴って
発生する積乱雲 |
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しぶき雲
(cataractagenitus ; cagen) |
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滝の近くにできる上昇気流と、
滝しぶき由来の水蒸気がつくる積雲 |
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変化母雲(mutatus) |
層積雲から変化
(stratocumulomutatus ; scmut) |
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層積雲の性質が次第に変化して
積雲になったもの |
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層雲から変化
(stratomutatus ; stmut) |
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層雲の性質が次第に変化して
積雲になったもの |
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積雲が関係する「雲の状態」
雲の状態は、空に浮かぶ雲全体を俯瞰して、記号で表す方法です。
森林に例えると、個々の木について判断するのが十種雲形と細分類なのに対し、
森林全体の状況を総合的に判断するのが「雲の状態」です。
雲の状態では、上層雲(CH)、中層雲(CM)、下層雲(CL)の3つに分けて表記し、
積雲は下層雲のひとつとして組み込まれています。
また、積雲の上部が広がって、高積雲ができることがあり、
その積雲由来の高積雲(Ac cugen)が、中層雲のCM-6でふれられています。
記 号 |
CM= |
説 明 |
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6 |
積雲または積乱雲が広がってできた高積雲 |
記 号 |
CL= |
説 明 |
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1 |
扁平積雲、悪天候時ではない断片積雲
またはそれらの共存 |
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2 |
中程度に発達した積雲または雄大積雲
他の積雲や層積雲があってもよい |
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3 |
無毛積乱雲。頂部は巻雲状、かなとこ状になっていない
積雲、層積雲、層雲があってもよい |
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4 |
積雲が広がってできた層積雲。
積雲があってもよい |
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5 |
積雲からの変化ではない層積雲 |
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7 |
悪天候時の断片層雲、または断片積雲 |
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8 |
積雲と層積雲の共存。
層積雲は積雲からの変化ではない |
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9 |
多毛積乱雲。頂部は巻雲状でかなとこ状のことも多い
無毛積乱雲、積雲、層積雲、層雲があってもよい |
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