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トップページ天気のはなし類(十種雲形)積乱雲
   
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空高くそびえたつ巨大な雲で、雲の下は激しい雷雨。
雹、竜巻などの激しい突風を伴うことも
もっと写真を見る(※作成中)
 
積乱雲の全体的なお話
大気の状態が不安定などの理由で、強い上昇気流があるときにできる、とても背の高い雲です。しばしば激しい雷雨を引き起こすため、「かみなりぐも」と呼ばれています。

雲底が高度2000m以下と低いところにあるため、下層雲のひとつとして位置づけられていますが、とても背の高い雲で、そのてっぺんは対流圏界面(対流圏と成層圏の境界:高度13,000m付近)にまで達します。対流圏界面の高さは季節や緯度によって異なり、冬はその高度が低くなるため、積乱雲の背も低くなります。

多くの積乱雲は、積雲から成長してできたものですが、高積雲や高層雲、乱層雲など他の雲形から発達してできるものもあります。
積雲の雄大雲に似るものの、積乱雲になると雲の輪郭のもくもく感は弱くなり、てっぺんは平らになります。またふつう雷を伴います。

ひとつの雲の寿命は、積雲時代も含めて約1時間で、雲の大きさのわりには短命です。しかしひとつ積乱雲ができると、その近くに新しい積雲・積乱雲が次々と発生することが多いものです。

台風や線状降水帯のように、多数の積乱雲が発生しては消えを繰り返しながら、全体としてひとつの大きな雲のかたまりとして動くことも珍しくありません。

また日本では稀ですが、ひとつの巨大積乱雲が大きなひょうやトルネードを伴いながら何時間もかけて移動し、甚大な爪痕を残していくことがあります。このような巨大積乱雲をスーパーセルといいます。

雲の中に氷の粒や氷晶があると、それらがぶつかりあって静電気がたまり、雷が鳴ります。ただし台風の近くなど上空の気温がとても高いときは、氷の粒ができにくいからか、あまり発雷しない傾向にあります。

積乱雲が最盛期を過ぎるころには、雲の中・上部に氷晶が増え、輪郭が毛羽立ってきます。この氷晶からなる部分に、幻日などのハロが見られることがあります。

また積乱雲による雨は降りかたにムラがあります。そのため雨の降っているところに太陽の光が当たることも珍しくなく、そういうときは鮮やかな虹のアーチが現れます。
日本名
積乱雲 せきらんうん
俗 称 かみなりぐも
にゅうどうぐも
別 名 →別ページへ(※作成中)
国際名
Cumulonimbus Cb
高 度
雲底は
2,000m
以下
極域(雲底)
2,000m以下
熱帯(雲底)
2,000m以下
色の幅
陰 影 あり
雲の粒
氷晶 氷粒 水滴
光の
現象
ハ ロ
光 環
彩 雲
降 水
霧 雨
霧 雪
雪あられ
ひょう
氷あられ
凍 雨
発 雷 あり
積乱雲の細分類について 
積乱雲には、2つの種(無毛雲、多毛雲)
8つの補足雲形(降水雲、尾流雲、かなとこ雲、
乳房雲、アーチ雲、壁雲、尻尾雲、漏斗雲)

それから、4つの付属雲(ちぎれ雲、頭巾雲、ベール雲、流入帯雲)
存在が認められています。変種はありません。

なお壁雲、尻尾雲流入帯雲
国際雲図帳2017年版で新たに追加されたものです。

以下、それぞれの雲の名前の横にあるマークをクリックすると
各細分類のページに飛びます(※マークの無いものは準備中)
種(specia)
無毛雲(calvus)
雲の輪郭が毛羽立っていないもの。
最盛期に差しかかりつつある状態
多毛雲(capillatus)
雲の輪郭が毛羽立ったもの。
最盛期を過ぎつつある状態
変種(varieties)
※なし 
補足雲形(supplementary features)
降水雲(praecipitatio)
雨などの降水を伴う状態。
積乱雲の場合、雨柱がはっきり見える
尾流雲(virga)
雲からの降水が地面に到達しない状態。
かなとこ雲の部分にできることが多い
かなとこ雲(incus)
積乱雲のてっぺんが金床のように
左右に大きく広がって見える状態
乳房雲(mamma)
多数の雲のこぶがぶら下がった状態。
かなとこ雲の部分にできることが多い
アーチ雲(arcus)
土手のような雲で積乱雲本体に接する。
突風(ガストフロント)を伴う
壁雲(murus)
強い上昇気流がある場所で、
雲底がひときわ低く垂れこめている
尻尾雲(cauda)
壁雲からのびる
細長いしっぽのような雲
漏斗雲(tuba)
雲底からのびる雲の渦巻。
紐や「漏斗の先」のような形になる
付属雲(accessory clouds)
ちぎれ雲(pannus)
雲の下に「断片状の雲」が
流れている状態
頭巾雲(pileus)
積乱雲のてっぺんに
頭巾をかぶせたような雲ができる
ベール雲(velum)
積乱雲のまわりにできる長い雲の帯。
頭巾雲とは異なり寿命が長い
流入帯雲(flumen)
積乱雲本体に向かって
流れこむ大きな雲の帯
積乱雲周辺で見られるさまざまな雲や現象
積乱雲を観察していると、
細分類として位置づけられているもののほかにも、
さまざまな雲や現象があり、それについて
名前がつけられているものもあります。

以下の図は、その雲や現象の現れる位置やかたちについて、
典型的なものを模式図として書き表したものです。



実際にはこれらの雲や現象がすべて見られるわけではなく、
何がどこに現れるかは、そのときの状況によって大きく変わります。

以下の表にそれぞれの雲や現象などの名前と説明を記します。
リンクをクリックすると解説ページに飛びます。(※リンクのない項目は作成中)
 雲や現象
の名前など
 説 明
フランキングライン
franking line
積乱雲本体につながる積雲の列。
通過時に突風を伴うことも
積乱雲底の無降水域
rain free cloud base
積乱雲直下で雨の降っていない場所。
竜巻などの危険な突風が発生しやすい
竜巻(トルネード)
tornado
非常に発達した積乱雲(スーパーセル)に伴う、
激しい風の渦巻で、壁雲やメソサイクロンを伴う
陸上竜巻
land spout
壁雲やメソサイクロンとは関係なく発生する、
比較的規模の小さな竜巻。
スーパーセル以外の積乱雲による
寒気に伴う漏斗雲
cold air funnel
上空の強い寒気に伴ってできる漏斗雲で、
ふつう地面には届かない。
地面に到達しても、その規模は小さい
海上竜巻
waterspout
海や湖など、開けた水面上に発生する竜巻。
回転する空気の柱で風は比較的弱い
ダウンバースト
downburst
積乱雲の底で強い下降気流が発生し、
地面にぶつかる。突風被害の原因となる
ガストフロント
gustfront
積乱雲の下にできた冷気が外側へと
勢いよく流れだす現象で、アーチ雲を伴う
ガストネード
gustnado
ガストフロントのところにできる風の渦巻
オーバーシュート
overshooting top
かなとこ雲の上にできる雲のでっぱり。
非常に発達した積乱雲で見られる
ジャンピングシーラス
jumping cirrus
積乱雲のてっぺんから飛び出した巻雲。
雲は成層圏内に突入する
正式な日本名が存在しないため、便宜的に名前を入れています。
積乱雲の母雲とSpecial clouds
積乱雲の発生母雲になるものとして、
高積雲や高層雲、乱層雲、層積雲、積雲が挙げられています。

高積雲や層積雲は、塔状雲の部分が大きく成長して
積乱雲になることがあります。

高層雲や乱層雲は
その一部が積乱雲へと発達することがあります。

高層雲や乱層雲が積乱雲へと発達する様子は、
空を眺めただけでは分かりにくいのですが、
降水レーダーで雨の降りかたの推移を
追っていくことで気づくことができます。

special cloudsとしては、熱対流雲(flammagenitus ; flgen)
人為起源雲(homogenitus ; hogen)が挙げられています。

熱対流雲は、火山噴火や火災などの
熱によってできる積雲や積乱雲です。

人為起源雲は人間活動に伴ってできる雲で、
おもに工場からの熱や排気によって発生します。

なお多くの積乱雲は積雲が発達し、
積乱雲へと性質が変化してできたものです。

積雲が大きくなってできた一般的な積乱雲は、
積雲が発生母雲であり、変化母雲でもあります。

以下、それぞれの雲の名前または写真をクリックすると
各細分類のページに飛びます(※リンクのない項目は準備中)
発生母雲(genitus)
高積雲から発生
(altocumulogenitus ; acgen)
高積雲の塔状雲が成長してできた積乱雲
高層雲から発生
(altostratogenitus ; asgen)
高層雲の一部が発達してできた積乱雲
乱層雲から発生
(nimbostratogenitus ; nsgen)
乱層雲の一部が発達してできた積乱雲
層積雲から発生
(stratocumulogenitus ; scgen)
層積雲の塔状雲が成長してできた積乱雲
積雲から発生
(cumulogenitus ; cugen)
積雲の雄大雲が発達したもの。
ほとんどの積乱雲がこれに当てはまる
熱対流雲
(flammagenitus ; flgen)
火災や火山噴火などの熱によって
大気が強く加熱されてできる積乱雲
人為起源雲
(homogenitus ; hogen)
工場の排気など人間活動に伴って
発生する積乱雲
変化母雲(mutatus)
積雲から変化
(cumulomutatus ; cumut)
積雲の雄大雲から変化したもの。
ほとんどの積乱雲がこれに当てはまる
 
積乱雲が関係する「雲の状態」
雲の状態は、空に浮かぶ雲全体を俯瞰して、記号で表す方法です。
森林に例えると、個々の木について判断するのが十種雲形と細分類なのに対し、
森林全体の状況を総合的に判断するのが「雲の状態」です。

雲の状態では、上層雲(CH中層雲(CM下層雲(CLの3つに分けて表記し、
積乱雲は下層雲のひとつとして組み込まれています。

また積乱雲から巻雲や高積雲が発生することがあり、
これらが上層雲や中層雲の記号の中でもふれられています。

記 号 CH= 説   明
3 積乱雲からできた濃密な巻雲

記 号 CM= 説   明
6 積雲または積乱雲が広がってできた高積雲

記 号 CL= 説   明
3 無毛積乱雲。頂部は巻雲状、かなとこ状になっていない
積雲、層積雲、層雲があってもよい
9 多毛積乱雲。頂部は巻雲状でかなとこ状のことも多い
無毛積乱雲、積雲、層積雲、層雲があってもよい
2024年7月15日最終更新

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