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湯気や霧のような、もやっとした雲。
最も低い位置に出現し、ビルや山の上部をも覆ってしまう |
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層雲の全体的なお話
十種雲形の中で最も低いところに発生する雲で、山肌にまとわりつくように現れたり、ビルの上の方を隠してしまったりします。また雲の下を流れる「ちぎれ雲」という形で現れることもあります。
ふつう水滴からなる雲ですが、非常に寒い場所では氷晶のこともあります。形の変化がとても早く、また風に流されながら目に見える速さで動いていきます。
雲の色は白色~灰色、黒灰色までさまざまです。比較的明るい場所では白っぽい色になる一方で、薄暗い雲の下や影になるような場所では、黒っぽい色となります。
上空を覆う層雲の半透明雲は、高層雲の半透明雲によく似ています。見分けのポイントとしては透けて見える太陽や月の輪郭です。層雲越しに見る太陽や月は輪郭がくっきりとしているのに対し、高層雲ではそれがぼんやりおぼろげに見えます。
層雲のうち、比較的厚みのあるものは、霧雨や霧雪、雪といった降水を伴うことがあります。
層雲は「きりぐも」という俗称があるとおり、霧によく似ています。一般に地面に接しているものが霧、地面と離れているものが雲と言われていますが、とても低いところに発生する層雲では、そのちがいがはっきりしなくなる傾向があります。
山間部で山のまわりにできる層雲は、麓から見ると雲ですが、山道を歩いていると、しばしばその中に突入してしまうことがあり、そうなると霧として認識されます。
また平地でも、早朝に発生した霧が、時間とともに風や気温上昇の影響を受けてゆっくり持ち上げられ、層雲へと変化することもあります。
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日本名 |
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俗 称 |
きりぐも |
別 名 |
→別ページへ(※作成中) |
国際名 |
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高 度 |
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色の幅 |
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陰 影 |
ふつうあり |
雲の粒 |
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光の
現象 |
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降 水 |
雨 |
- |
霧 雨 |
○ |
雪 |
△ |
霧 雪 |
△ |
雪あられ |
- |
ひょう |
- |
氷あられ |
- |
凍 雨 |
- |
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発 雷 |
- |
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層雲の細分類について
層雲には、2つの種(霧状雲、断片雲)、
3つの変種(不透明雲、半透明雲、波状雲)、
2つの補足雲形(降水雲、波頭雲)の存在が認められています。
付属雲はありません。
なお波頭雲は国際雲図帳2017年版で新たに追加されたものです。
以下、それぞれの雲の名前の横にある マークをクリックすると
各細分類のページに飛びます(※マークの無いものは準備中)
種(specia) |
霧状雲(nebulosus) |
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霧のようにぼんやりとした層雲
輪郭はぼやけ、はっきりしない |
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断片雲(fractus) |
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ちぎったような断片状の層雲。
輪郭は比較的はっきりしている |
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変種(varieties) |
不透明雲(opacus) |
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雲が厚くて、太陽や青空、景色を
完全に遮ってしまう状態 |
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半透明雲(translucidus) |
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雲が比較的薄く、太陽や青空、
景色が透けて見える状態 |
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波状雲(undulatus) |
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小雲が等間隔に並んで、
しま模様に見える状態 |
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補足雲形(supplementary features) |
降水雲(praecipitatio) |
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雲からの降水(霧雨、霧)が
地上に到達している状態 |
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波頭雲(fluctus)※ |
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ケルビン-ヘルムホルツ波の影響で
雲の縁がくるんと巻く |
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付属雲(accessory clouds) |
※なし |
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層雲の母雲とSpecial clouds
層雲の発生母雲になるものとして
乱層雲、積雲、積乱雲が挙げられています。
いずれも、雲の下を流れる「ちぎれ雲」という形で発生します。
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積雲によってできる層雲(St Cugen)は
とても珍しいと言われているよ |
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また層雲の変化母雲になるものとして
層積雲が挙げられています。
層積雲の性質が時間とともに変化して、
雲底がぼやけて輪郭がはっきりしなくなり、
やがて層雲へと変化していくケースです。
それから、special cloudsとして人為起源雲(homogenitus ; hogen)、
森林蒸散雲(silvagenitus ; sigen)、
しぶき雲(cataractagenitus ; cagen)が挙げられています。
人為起源雲は人間活動に伴ってできる雲の総称で、
層雲の場合、主に工場などからの排気によって発生します。
森林蒸散雲は、森林の樹冠から蒸発した水分がつくる層雲で、
樹冠に接するように発生する小さな湯気のような雲です。
しぶき雲は、滝つぼの周辺にできる積雲や層雲です。
滝つぼ周辺の空気は、滝の勢いで引きずり降ろされるように下降します。
そしてその近くで、下降した空気を補うための上昇気流が発生し、
上下方向の空気の循環ができあがります。
この空気の循環に伴う上昇気流が、
滝しぶきから蒸発した水蒸気を材料に雲をつくることがあり、
これをしぶき雲と言います。
以下、それぞれの雲の名前または写真をクリックすると
各細分類のページに飛びます(※準備中)
発生母雲(genitus) |
乱層雲から発生
(nimbostratogenitus ; nsgen) |
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乱層雲の下にできた層雲。
「乱層雲のちぎれ雲」として認識される |
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積雲から発生
(cumulogenitus ; cugen) |
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降水を伴う積雲の下にできた層雲。
「積雲のちぎれ雲」として認識される |
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積乱雲から発生
(cumulonimbogenitus ; cbgen) |
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積乱雲の下にできた層雲。
「積乱雲のちぎれ雲」として認識される |
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人為起源雲
(homogenitus ; hogen) |
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工場の排気などに伴ってできる
人間活動由来の層雲 |
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森林蒸散雲
(silvagenitus ; sigen) |
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森林の樹冠から蒸発した
水蒸気によってできる小さな層雲 |
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しぶき雲
(cataractagenitus ; cagen) |
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滝の近くにできる層雲。滝のしぶきと、
局地的な上昇気流によってできる |
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変化母雲(mutatus) |
層積雲から変化
(stratocumulomutatus ; scmut) |
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層積雲の性質が変化してできた層雲。
厚く垂れこめ、雲の模様は失われる |
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層雲が関係する「雲の状態」
雲の状態は、空に浮かぶ雲全体を俯瞰して、記号で表す方法です。
森林に例えると、個々の木について判断するのが十種雲形と細分類なのに対し、
森林全体の状況を総合的に判断するのが「雲の状態」です。
雲の状態では、上層雲(CH)、中層雲(CM)、下層雲(CL)の3つに分けて表記し、
層雲は下層雲のひとつとして組み込まれています。
記 号 |
CL= |
説 明 |
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3 |
無毛積乱雲。頂部は巻雲状、かなとこ状になっていない
積雲、層積雲、層雲があってもよい |
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6 |
霧状の層雲、または悪天候時以外の断片層雲 |
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7 |
悪天候時の断片層雲、または断片積雲 |
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9 |
多毛積乱雲。頂部は巻雲状でかなとこ状のことも多い
無毛積乱雲、積雲、層積雲、層雲があってもよい |
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