巻積雲の全体的なお話
対流圏上層(5,000〜13,000m)のところに浮かぶ雲です。ふつう氷晶でできていますが、ときに過冷却水滴(0℃未満でも凍らず液体の水として存在)からなることもあります。小さな雲(小雲)をびっしりと敷き詰めたような姿をしています。この様子を魚の鱗に例えて「うろこぐも」、あるいはイワシの大群に見立てて「いわしぐも」とも呼ばれています。しま模様に並んだものは、サバの背にある模様のようであることから「さばぐも」の名で親しまれています。
個々の小雲は白色で陰影はありません。ただ早朝と夕方は多少陰影が見えたり、朝焼け・夕焼けの色に染まったりします。
小雲の大きさは視半径1度未満と小さいためツブツブとした感じに見えます。やや大きめのものは、高積雲と紛らわしいのですが、判断に迷ったら、腕をのばして小指を立て、小雲に当ててみるとよいでしょう。このときの小指の幅が概ね視半径1度で、巻積雲の場合、個々の小雲は小指の中にすっぽりとおさまる大きさで、はみ出すことはありません。
氷晶からなる雲であるものの、ハロはできません。その代わり光環や彩雲ができることがあります。太陽の近くに巻積雲があるときは、かなり高い確率で彩雲になります。
巻積雲は降水(氷晶)を伴うことがあります。しかしその量は少なく、また高いところに浮かぶ雲なので、降水は地表に到達することはありません。地上にいて、巻積雲からの降水を直接肌で感じることはありませんが、尾流雲という形で降水の軌跡を見ることはできます。
昭和40年1月1日から昭和63年4月1日にかけては巻積雲を絹積雲と表記しました。これは戦後行われた漢字の整理によって作成された「当用漢字表」で、一時的に巻を「ケン」と読むことができなくなったのが理由です。
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日本名 |
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俗 称 |
うろこぐも
いわしぐも
さばぐも |
別 名 |
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国際名 |
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高 度 |
5,000-
13,000m |
極域 |
3,000-8,000m |
熱帯 |
6,000-18,000m |
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色の幅 |
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陰 影 |
なし |
雲の粒 |
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光の
現象 |
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降 水 |
雨 |
− |
霧 雨 |
− |
雪 |
− |
霧 雪 |
− |
雪あられ |
− |
ひょう |
− |
氷あられ |
− |
凍 雨 |
− |
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発 雷 |
− |
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