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雲分類の基本となる10種類の分けかた。日本では十種雲形と呼ばれる |
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類(genera)とは?
雲の分類は世界気象機関(WMO)が刊行した、
国際雲図帳(INTERNATIONAL CLOUD ATLAS)を
もとにして行われています。国際雲図帳は初版刊行後、
何回か改訂があり、長らく1975年版が使われてきましたが、
2017年3月に改訂が行われ、2017年版が発表されました。
現在の雲分類では、基本となる10種類の雲形を定めていて、
対流圏(地表から高度約13kmまで)に浮かぶ雲のうち、
自然に発生するすべての雲は、必ずこのどれかに分類されます。
この10種類の分けかたが類(genera)で、
雲を分類するときの「基本」となっています。
類(genera)の分けかたは、十種雲形(※)と同じものです。
この基本10種類をもとにして、さらに特徴的なかたちがあるときは、
オプションで細分類の名前がつけられています。
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国際雲図帳の雲分類では
類(基本10種)の分けかたとは別に、
細分類の区分として種(specia)があるよ。
十種雲形だと、それとまぎらわしいので、
十類雲形や十類雲級と呼んだほうが
いいという考え方もあるよ |
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類(genera)の種類一覧
雲分類の類(genera)には、次の10種類があります。
名前のリンクをクリックすると、それぞれの雲の解説ページに飛びます。
名 称・
よみかた |
略号・
国際名 |
俗称など |
記 号 |
巻雲
けんうん |
Ci
Cirrus |
すじぐも
羽根雲、真綿雲、つりばり雲、
馬尾雲、はけ目雲、ほそまい雲、
白簀雲、しらす |
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巻積雲
けんせきうん |
Cc
Cirrocumulus |
いわしぐも・うろこぐも
まだら雲、しわ雲、あばた雲、
泡雲、ちぢみ雲、かすり雲、
こっぱ雲、貝場雲、小河原雲、
高いかたまり雲、小むら雲、
ちび雲、小粒雲 |
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巻層雲
けんそううん |
Cs
Cirrostratus |
うすぐも
水まさ雲、白簀雲、
高いひらた雲、うすもの雲 |
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高積雲
こうせきうん |
Ac
Altocumulus |
ひつじぐも・むらぐも
かわらけ雲、石垣雲、
だんだら雲、雁の腹雲、鯖雲、
中程のかたまり雲、大むら雲 |
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高層雲
こうそううん |
As
Altostratus |
おぼろぐも
幕雲、どんより雲、中程のひらた雲 |
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乱層雲
らんそううん |
Ns
Nimbostratus |
あまぐも・ゆきぐも
雨もよい、乱雲、
陰雲、五月雲、低いひらた雲 |
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層積雲
そうせきうん |
Sc
Stratocumulus |
くもりぐも・かさばりぐも
うね雲、寝雲、八重棚雲、
低いかたまり雲 |
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層雲
そううん |
St
Stratus |
きりぐも
横雲、蛇雲、かすみ雲、
山かつら、大蛇雲 |
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積雲
せきうん |
Cu
Cumulus |
わたぐも・つみぐも
すわり雲、むくむく雲、ひる雲、
凍雲、浮島雲、入道雲、太郎雲 |
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積乱雲
せきらんうん |
Cb
Cumulonimbus |
かみなりぐも
立ち雲、入道雲、雲の峰、鬼雲、
夕立雲、太郎雲、らいさま、
朝顔雲、傘鉾雲、疾風雲、雲堤 |
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表中にある名称は、日本語での正式名称です。
国際名は国際雲図帳に記載されている正式名称(ラテン語表記)です。
略号は、正式名称を簡易的に表記したもので、こちらもよく使われています。
俗称は、雲の「あだ名」のようなものです。
太字で記したものが、代表的な俗称で、ふつうに使われている呼び名です。
小さな文字で列記してあるものは、それ以外の呼び名です。
比較的知名度の低いもの、特徴的な雲に対して使われているもの、
地域限定で使われているものなどを入れてあります。
記号は、十種雲形を記号で記す場合に使われるものです。
日本ではあまり使われていませんが、国際雲図帳には記載されています。
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類(genera)の名前の漢字の意味
類(十種雲形)の名前は、よく似ていて紛らわしいように感じますが、
その命名方法はとてもシンプルで、合理的なものになっています。
名前の漢字には共通する雲の特徴がこめられています。
この意味を知ることで、雲の名前を覚えやすくなるだけではなく、
名前を見ただけで、ある程度の特徴を思い浮かべることが
できるようになっています。
着目点 |
特 徴 |
日本名 |
国際名 |
雲の
浮かぶ
高さ |
高度5000〜13000m |
− |
− |
高度2000〜7000m |
高 |
alto- |
高度2000m以下 |
− |
− |
雲の
かたち |
すじ・繊維状 |
巻 |
cirrus
cirro-(※) |
もくもくと上へのびる |
積 |
cumulus
cumulo- |
水平にべたっと広がる |
層 |
stratus
strato- |
降水の
有無 |
降水あり |
乱 |
nimbus
nimbo- |
ふつう降水はない |
− |
− |
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巻積雲や巻層雲に使われるcirro-は
本来は巻雲を意味するcirrusから
変化したものだよ。だけど実用上は、
巻雲と同じような高度(上層)に
発生する雲と読みかえても大丈夫だよ。 |
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類(十種雲形)と雲の浮かぶ高さ
雲の浮かぶ高さは、緯度によって若干ずれがあるため、
熱帯域(Tropical Regions)、温帯域(Temperate Regions)、
極域(Polar Regions)の3つに分けて記されます。
このホームページ内では、特に断りがない限り、
日本が属する温帯域について書きたいと思います。
上層雲(high level cloud)は、
高度5000〜13000m(熱帯:6000〜18000m、極域:3000〜8000m)付近に
浮かぶグループです。巻雲、巻積雲、巻層雲の
3つがこれに該当します。
中層雲(middle level cloud)は、
高度2000〜7000m(熱帯:2000〜8000m、極域:2000〜4000m)付近に
浮かぶグループです。高積雲、高層雲、乱層雲の
3つがこれに該当します。
ただし、ぶあつい高層雲では、雲頂が
高度7000mを超えることも珍しくありません。
また乱層雲も、雲頂が高度10000m程度、
雲底が高度500m程度にまで広がることがあります。
下層雲(low level cloud)は、
高度2000m以下(熱帯:2000m以下、極域:2000m以下)に
浮かぶグループです。層積雲、層雲の2つがこれに該当します。
層雲は、土地の起伏のある場所では、雲底が地表にまで
達することもあります。
対流雲(convection cloud)は、対流によって発生する雲です。
発達するととても背が高くなり、積雲、積乱雲の2つがこれに該当します。
積雲と積乱雲は、背の高くなる雲ですが、雲底は2000m以下にあります。
そのため下層雲に含めることもあります。
高 度 (m) |
−−−−−−−−対流圏界面−−−−−−−− |
|
↑ |
13000 |
○ |
○ |
○ |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
○ |
|
↑ |
12000 |
○ |
○ |
○ |
− |
− |
− |
− |
− |
↑ |
○ |
|
↑ |
11000 |
○ |
○ |
○ |
− |
− |
− |
− |
− |
↑ |
○ |
|
上 |
10000 |
○ |
○ |
○ |
− |
↑ |
↑ |
− |
− |
↑ |
○ |
|
|
9000 |
○ |
○ |
○ |
− |
↑ |
↑ |
− |
− |
↑ |
○ |
|
層 |
8000 |
○ |
○ |
○ |
− |
↑ |
↑ |
− |
− |
↑ |
○ |
↑ |
↓ |
7000 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
− |
− |
↑ |
○ |
↑ |
↓ |
6000 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
− |
− |
↑ |
○ |
中 |
↓ |
5000 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
− |
− |
↑ |
○ |
層 |
|
4000 |
− |
− |
− |
○ |
○ |
○ |
− |
− |
↑ |
○ |
↓ |
|
3000 |
− |
− |
− |
○ |
○ |
○ |
− |
− |
↑ |
○ |
↓ |
下 |
2000 |
− |
− |
− |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
|
層 |
1000 |
− |
− |
− |
− |
− |
↓ |
○ |
○ |
○ |
○ |
|
↓ |
500 |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
○ |
○ |
○ |
○ |
地表付近 |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
↓ |
− |
− |
|
|
|
|
|
|
|
|
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|
|
上層雲
high level
cloud |
中層雲
middle level
cloud |
下層雲
low level
cloud |
対流雲
convection
cloud |
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2022年4月1日最終更新 |