サイト概要 サイトマップ 著作権・引用・リンク お問い合わせについて

トップページ天気のはなし分類カテゴリ変種補足雲形付属雲母雲special clouds地形性の雲その他
   


最新情報はツイッター
ブログなどもご確認ください。


 
 
 
 

各種お問い合わせは
メール
でお願いいたします。
こちらもご一読ください。


本来とは異なるメカニズムによってできた雲

special cloudsとは?
雲はふつう、気象学的な理由で発生した上昇気流によって、
空気中に含まれる水蒸気が小さな水や氷の粒となって漂ってできるものです。

ところが中には、気象学的な要因以外のメカニズムで、
雲ができることがあります。飛行機の通過によってできる
飛行機雲がその代表的な例と言えます。

2017年版の国際雲図帳では、
このような特殊なメカニズムでできる雲について、
次の5つの名前をつけられ、
Special cloudsというかたちでまとめられました。

名 称 略号 メカニズム
発生母雲
genitus
熱対流雲
flammagenitus
flgen 噴火や火災などの熱源
人為起源雲
homogenitus
hogen 人間活動によるもの
(飛行機や工場の排気など)
森林蒸散雲
silvagenitus
sigen 森林の樹冠からの蒸散など
しぶき雲
cataractagenitus
cagen 大きな滝の水しぶき
変化母雲
mutatus
飛行機由来変異雲
homomutatus
homut 人為起源雲から変化した雲
special cloudsについては現時点では正式な和名が存在しません。
ここでは気象予報士有志「雲の和名ワーキンググループ」が
提唱したものを当てはめています。

2017年に追加された「新種の雲」の名前の扱いについて(※作成中)

homomutatus(homut)は
飛行機雲から変化してできたものを指すよ

現在の雲分類では、基本となる10種類の雲形を定め、
自然に発生するすべての雲は、必ずこのどれかに分類されます。
この基本となる10種類は、国際雲図帳では類(genera)と呼びます。

Special cloudsとしてできた雲も、
この基本となる10種類のどれかに位置づけけられます。

Special cloudsであることを示すときは、
後ろに上の5種類のうち該当するものを追記するかたちとなります。

滝つぼのしぶきによってできた層雲(Stratus)

【表記方法】Stratus cataractagen
【略号表記】St cagen

飛行機雲が変化(homomutatus)してできた
巻積雲(Cirrocumulus)波状雲(undulatus)


【表記方法】Cirrocumulus undulatus homomutatus
【略号表記】Cc un homut
飛行機雲について
飛行機雲(aircraft condensation trails)は2017年版の改訂で
人間活動によってできた巻雲Cirrus homogenitus)として
明確に位置づけられました。

この飛行機による巻雲は「雲の和名ワーキンググループ」により
飛行機由来巻雲という名前が提案されています。

ただできたばかりの飛行機雲は
まだ雲の状態が安定していないため、
10分以上出続けたものを飛行機由来巻雲とします。

飛行機雲(飛行機由来巻雲)も
人為起源雲(homogenitus)のひとつだよ

この飛行機由来巻雲は、時間の経過とともに
巻積雲や巻層雲、あるいは別な形の巻雲へと姿を変えていくことがあります。
これらの飛行機雲から変化した雲がhomomutatusです。

homomutatusも現時点では正式な和名はありませんが、
「雲の和名ワーキンググループ」により
飛行機由来変異雲という和名が提案されています。
雲の分類表でのspecial cloudsの位置づけ
Special cloudsは、雲の分類表では、
母雲(mother clouds)の一部として扱われています。

母雲(mother clouds)は、雲の発生・変化の様子を表す方法です。
詳しくはこちらのページをご覧ください。

母雲は大きく発生母雲(genitus)
変化母雲(mutatus)の2つに分けられます。

Special cloudsのメカニズムによって雲が発生し、
そのまま十種雲形のひとつになったものを
発生母雲(genitus)として位置づけています。

flammagenitus、homogenitus、cataractagenitus、silvagenitusのように、
発生母雲にあたるものは、名称の語尾に-genitusとつきます。
略号表記の場合は-genとなります。

また雲の大部分、または全体が時間とともに変化し、
別な種類の十種雲形へと姿を変えることがあります(例:巻雲→巻積雲 など)。

そのような変化を表すのが変化母雲(mutatus)です。
変化母雲にあたるものは、名称の語尾に-mutatusとつきます。
略号表記の場合は-mutとなります。

今回追加されたspecial cloudsの中で変化母雲にあたるのは、
homomutatus(人為起源雲からの変化)のみです。


熱対流雲
flammagenitus
飛行機由来巻雲
aircraft condensation trails
人為起源雲
homogenitus
森林蒸散雲
silvagenitus
しぶき雲
cataractagenitus
飛行機由来変異雲
homomutatus
今まで知られていた雲とspecial cloudsの関係
次の表は、special cloudsに関係する雲の名前(一般的な呼び名)の一覧です。
名 称/
英語名
別名など ICAの表記 おもな特徴
母雲
飛行機雲
contrail
航跡雲 Ci hogen 飛行機の通過に伴って発生する線形の雲。
消滅飛行機雲
distrail
反対飛行機雲 雲の中を飛行機が通って、航跡の通りに線状に雲が消えた状態。
火災積雲
pyrocumulus
熱積雲
Cu flgen 火災や火山、工場の煙突などから出る熱でできた積雲
火災積乱雲
pyrocumulonimbus
- Cb flgen 火災や火山などから出る熱でできた積乱雲 
瀑布雲
--
- St cagen 滝の水しぶきでできた層雲
Cu cagen 滝の水しぶきでできた積雲

消滅飛行機雲は
細分類(補足雲形)に追加された
穴あき雲(cavum)として、
位置づけられるようになったよ。
 2022年5月3日最終更新

Copyright (C) 2002- wapichan(Hideaki Iwatsuki), All rights reserved.