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トップページ天気のはなし細分類(種)断片雲
   
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風によって、ちぎれたり、かき乱されたような姿になったもの。
形がめまぐるしく変化し、動きも早い。
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断片雲の全体的なお話
断片雲(fractus)は、風の影響を受けて、ちぎれて断片状になったもので、層雲と積雲に見られる細分類(種)のひとつです。

雲の動きや形の変化が激しく、みるみるうちにどんどん姿かたちが変わっていきます。輪郭は毛羽立ち、ときに渦を巻いたりすることもあります。風が強いときは、ばらけてボロボロな状態になります。

雲の薄い部分が太陽や月の近くを通ると、一部がカラフルに色づいて見える彩雲になります。

層雲の断片雲は、古くは片層雲(Fractostratus)と呼ばれていました。
山間部では山肌に沿って湯気のように立ちのぼるものを頻繁に見ることができます。
平地でも早朝、霧が晴れていく過程で見られることがあります。

積雲の断片雲は古くは片積雲(Fractocumulus)と呼ばれていました。
特によく見られるのが冬型の気圧配置になって寒気が流れ込み、風が強くなったときです。風が強いときは激しくかき乱され、ばらけたような姿になります。また寒気が強いときは、積雲の中に氷晶や雪の結晶が増え、輪郭がぼやけたような感じになります。

それから、ちぎれて断片状になった雲のうち、乱層雲(雨雲)の下にできるものはかつて片乱雲(Fractonimbus)と呼ばれていました。これは国際雲図帳1956年版からは、細分類(付属雲)のちぎれ雲(pannus)として位置づけられました。それと同時に、乱層雲以外にも高層雲、積雲、積乱雲にも現れるとされました。

なお、ちぎれ雲は、 ちぎれ雲とは本体の雲Aの下に、小雲(雲B)ができた状態を表します。そして小雲Bそのものについては、層雲(または積雲)の断片雲として位置づけられています。
日本名
断片雲
だんぺんうん
国際名
fractus fra
語 源
frangereの過去分詞
ラテン語で壊れる
粉々になる
の意味
別 名 向雲(旧名)
層雲の断片雲
断片層雲(旧名)
ちぎれ霧雲(旧名)
片層雲(旧名)
砕層雲(旧名)
積雲の断片雲
蝶々雲
片積雲(旧名)
砕積雲(旧名)
高層雲のちぎれ雲
こごり雲
騰蛇
蛇行
魚行
乱層雲のちぎれ雲
片乱雲(旧名)
砕乱雲(旧名)
黒っぽいちぎれ雲
黒猪
積雲がくずれてゆっくり回転
渦状積雲(旧名)
球状積雲(旧名)
捩れ積雲(旧名)
螺旋状積雲(旧名)
地形性の断片雲
翁雲
兜雲
背負雲
昇り雲
旗雲
十種雲形
との関連
巻 雲
巻積雲
巻層雲
高積雲
高層雲
乱層雲
層積雲
層 雲
積 雲
積乱雲
断片雲の名前の変化
ちぎれたような断片状の雲は、古くは以下のような名前で呼ばれていました。

古い分類
(日本名/国際名)
特 徴 今の分類
(日本名/国際名)
片乱雲(砕乱雲)
Fractonimbus
雨雲(乱層雲)の下を流れるちぎれたような雲 乱層雲のちぎれ雲
Nimbostratus pannus
こごり雲
Fractonimbus
おぼろ雲(高層雲)の下にできる割合かたまり状のちぎれた雲。片乱雲の一型で藤原咲平提唱 高層雲のちぎれ雲
Altostratus pannus
片層雲(砕層雲)
Fractostratus
層雲が風でちぎれたり、山のまわりに断片的に存在したりするもの 層雲の断片雲
Stratus fractus
片積雲(砕積雲)
Fractocumulus
積雲が風でちぎれるなどして断片状にのなったもの 積雲の断片雲
Cumulus fractus

国際雲図帳1930年版には片積雲(Fractocumulus)
片層雲(Fractostratus)の2つが登場します。
なお1930年版は十種雲形の他に細分類の原型となるものとして、
亜類(sub-genera)、種(species)、変種(varieties)などがありますが、
いずれもこの中には位置づけられておらず解説文中で触れている程度です。

  Fractocumulusが初めて文献に
登場したのはなんと1863年!
1863年は、日本では江戸時代だよ

片乱雲(Fractonimbus)乱層雲の下を流れるちぎれたような雲のことで、
今の分類でいうところの乱層雲のちぎれ雲(Nimbostratus pannus)です。
国際雲図帳1930年版には登場しませんが、
かなり古い時代に使われていた分類とのことなので、
1910年版かそれ以前に登場したものかもしれません(※未確認)

また、こごり雲高層雲の下に、雨の前触れとして現れるものをいいます。
これは藤原咲平が提案した名前で、かなり古い時代には
騰蛇蛇行魚行などと呼ばれていたとのことです。

こごり雲は今の分類でいうところの
高層雲のちぎれ雲(Altostratus pannus)に相当します。

国際雲図帳1956年版では「断片状にちぎれた雲」は
細分類(種)のひとつとして断片雲(fractus)の名前で記載されました。
そして片積雲(Fractocumulus)積雲の断片雲(Cumulus fractus)に、
片層雲(Fractostratus)層雲の断片雲(Stratus fractus)になりました。

そしてこのときに片乱雲は、細分類の(付属雲)のひとつとして、
ちぎれ雲(pannus)の名前で記載されました。
高層雲、乱層雲、積雲、積乱雲に見られる細分類となっています。
各雲形ごとの説明
層雲の断片雲(Stratus fractus:St fra

層雲のうち、断片状で比較的輪郭がはっきりしているものをいいます。
雲の動きや形の変化がとても早く、みるみるうちに姿かたちは変わっていきます。
山間地では、山肌にまとわりつくように現れるものを頻繁に見かけます。

なお、層雲のうち、一様にべたっと広がり、どこからどこまでが雲なのか
境界がはっきりしないようなタイプは霧状雲とします。


積雲の断片雲(Cumulus fractus:Cu fra

積雲のうち、上空の強い風によってかき乱されたり、
ちぎれて断片状になったりしたものをいいます。
雲の動きや形の変化は早く、みるみるうちに姿かたちは変わっていきます。

比較的風が弱いときは多少のもくもく感が残って積雲らしさを感じますが、
風が強いときは、雲がばらけて分散したようになります。
断片雲のバリエーション
片乱雲 (Nimbostratus pannus:Ns pan

片乱雲(Fractonimbus)は、かなり古い分類で使われていた名前で、
乱層雲(あまぐも)の下に現れるちぎれたような雲のことを言います。
現在の分類では、乱層雲のちぎれ雲(Nimbostratus pannus)として扱います。


こごり雲 (Altostratus pannus:As pan

こごり雲は、藤原咲平が提唱したもので、
「ちぎれ雨雲に似ては居るが、割合に塊つて見える雲で雨兆をなすもの」
としています。

また、主に高層雲(おぼろぐも)の下に現れるとも言っており、
今の分類でいう高層雲のちぎれ雲(Altostratus pannus)
相当する雲といえます。


霧が晴れる過程で現れる断片雲(Stratus fractus:St fra

雨あがりの朝などに見られる霧は、
ふつう日が昇るにつれだんだん薄くなり、
分散するように消えていきます。

地表付近の霧がほぼ消えた後に、
少し高いところにあった霧が、層雲の断片雲として残り、
湯気のように流れていく姿を見ることがあります。

このタイプの層雲の断片雲は、
平地や盆地で見られることが多く見られます。
多くはあっという間にくずれて消滅しますが、
積雲に姿を変えていくこともあります。


彩雲になった積雲の断片雲

積雲の断片雲は上空の風によってかき乱され、
ちぎれて断片状になったものを言います。
このちぎれて薄くなった部分が太陽や月の近くを通ったとき、
雲がカラフルに色づいて見える彩雲(iridescent cloud)になります。


球状積雲(Cumulus fractus:Cu fra

積雲が上空の風の影響を受けてほぼ球形になったものは
古い文献で球状積雲(Ball cumulus)として紹介されています。
これは今の分類でいう積雲の断片雲に相当するものと考えられます。


螺旋状積雲(Cumulus fractus:Cu fra

積雲のうち、ぐるぐると螺旋を描きながら上に向かってのびるものは
古い文献では螺旋状積雲(spiral clouds)という名前で紹介されています。

これは上空の風の影響を受けたもので、
今の分類でいう積雲の断片雲に相当するものと考えられます。


捩れ積雲(Cumulus fractus:Cu fra

上空の風が強いときは、その風によって積雲が激しくかき乱されます。
その際に回転する気流ができて、それに巻きこまれるような形で、
雲が縄のようによじれて細くのびることがあります。
こういう状態になった雲は古い文献では
捩れ積雲(screwed cumulus)という名前で紹介されています。

これもやはり風の影響でねじれたものなので、
今の分類でいう積雲の断片雲に相当するものと考えられます。

なお、高積雲や層積雲のうち、上空で回転する気流の影響を受けて
細長い円柱形の形になったものはロール雲(volutus)と呼ばれ
国際雲図帳2017年版では新たに細分類の種として認められました。


渦状積雲(Cumulus fractus:Cu fra

上空の風によってかき乱された積雲は、その一部が
つむじ風のようにぐるぐると渦を巻いていくことも珍しくありません。
これは古い文献では渦状積雲(vortex cumulus)という名前で紹介されています。

なお、雲の縁に日本画の波のような形の渦が並ぶことがあります。
これはケルビン-ヘルムホルツ波(K-H波)と呼ばれる波動によるもので、
国際雲図帳2017年版では波頭雲(fluctus)の名前で
細分類(補足雲形)のひとつとして追加されました。
2025年2月20日最終更新

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