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しゅっと刷毛でなぞったような繊維状の雲で、絹糸のように白く輝く
もっと写真を見る(※作成中)
 
巻雲の全体的なお話
十種雲形の中で最も高いところにできる雲で、氷晶(小さな氷の結晶)でできています。氷晶が上空の風に流されながら雲の形をつくっていくため、糸や毛、すじを思わせるような「繊維状」の質感となります。そのことから「すじぐも」の俗称で古くから親しまれています。

雲は白く輝き、ふつう陰影はありません。また雲の繊維は離ればなれで、繊維と繊維の間は青空となっています。雲を通しても太陽のまぶしさは失われません。

ただし細分類の濃密雲は、密度が濃く厚みがあるため、布切れのような感じとなり、雲越しに太陽の光が遮られてしまうこともあります。また多少の陰影ができて、灰色っぽい部分が見えることもあります。

氷晶からなる雲であるため、ときにハロができることがあります。ただ巻雲は離ればなれにできる雲であるため、できたとしても断片的に見える程度にとどまるのがふつうです。また雲にムラが大きいため、あまり鮮明には見えないことも多々あります。ただし、環水平アークや環天頂アークは鮮やかに見えることが多く、断片的に発生するという特性から、彩雲と勘違いされてしまう事例も見受けられます。

昭和40年1月1日から昭和63年4月1日にかけては巻雲を絹雲と表記しました。これは戦後行われた漢字の整理によって作成された「当用漢字表」で、一時的に巻を「ケン」と読むことができなくなったのが理由です。
日本名
巻雲 けんうん
俗 称 すじぐも
別 名 →別ページへ(※作成中)
国際名
Cirrus Ci
高 度
5,000-
13,000
m
極域
3,000-8,000m
熱帯
6,000-18,000m
色の幅
陰 影 なし(濃密雲はときにあり)
雲の粒
氷晶 氷粒 水滴
光の
現象
ハ ロ
光 環
彩 雲
降 水
霧 雨
霧 雪
雪あられ
ひょう
氷あられ
凍 雨
発 雷
巻雲の細分類について 
巻雲には、5つの種(毛状雲、鈎状雲、濃密雲、塔状雲、房状雲)
4つの変種(もつれ雲、放射状雲、肋骨雲、二重雲)
2つの補足雲形(乳房雲、波頭雲)の存在が認められています。
付属雲はありません。

なお波頭雲は国際雲図帳2017年版で新たに追加されたものです。

以下、それぞれの雲の名前の横にあるマークをクリックすると
各細分類のページに飛びます(※マークの無いものは準備中)
種(specia)
毛状雲(fibratus)

雲のすじは、ほぼ直線〜少し曲がる。
両端または途中に雲のかたまりは無い。
鈎状雲(uncinus)
雲のすじがカクッと大きく曲がったり、
釣り針状に巻いたりする。
濃密雲(spissatus)
太陽を遮るくらいに濃密な巻雲。
少し灰色に見えることも
塔状雲(castellanus)
雲のすじの上部がもくもくと立ち上がる
房状雲(floccus)
雲のすじが丸いかたまり状に集まる。
ときに長い尾をひくこともある
変種(varieties)
もつれ雲(intortus)
雲のすじの形や並びは不規則。
典型では糸くずがもつれたような形に
肋骨雲(vertebratus)
雲のすじが、あばら骨のように並ぶ
二重雲(duplicatus)
異なる高さの場所に現れた雲が
重なって見える状態
放射状雲(radiatus)
遠近効果の影響を受け、
雲が放射状に広がって見える状態
補足雲形(supplementary features)
乳房雲(mamma)
雲のすじに、小さな雲のこぶが
いくつもぶら下がった状態
波頭雲(fluctus)
ケルビン-ヘルムホルツ波の影響で
くるんと巻いたような波が並ぶ
付属雲(accessory clouds)
※なし 
 
巻雲の母雲とSpecial clouds
巻雲の発生母雲になるものとして、
巻積雲、高積雲、積乱雲が認められています。

巻積雲と高積雲からのびる尾流雲(降水のすじ)が
成長して巻雲になることがあります。

積乱雲は時間とともに雲の中の氷晶が増え、
次第に毛羽立ってきます(多毛雲)。
この毛羽立った部分が切り離されて成長し、
巻雲として漂うことがあります。

また積乱雲の上部で、かなとこ雲が大きく広がり、
積乱雲本体が衰弱した後も、巻雲として残ることがあります。

変化母雲になるものとして巻層雲が挙げられています。

繊維状の質感を持つ巻層雲(巻層雲の毛状雲)が、
時間とともに薄くなり、繊維の部分が残ってばらけ、
巻雲になるというパターンです。

それから、special cloudsとして、
人為起源雲(homogenitus ; hogen)
飛行機由来変異雲(homomutatus ; homut)が挙げられています。

人為起源雲は人間活動に伴ってできる雲の総称で、
人間活動に伴ってできる巻雲として、飛行機雲が該当します。

また、その飛行機雲が時間とともに変化して、
別な形の巻雲へと姿を変えることがあります。
これが飛行機由来変異雲です。

以下、それぞれの雲の名前または写真をクリックすると
各細分類のページに飛びます(※準備中)

  「母雲」に気づくためには、
雲の瞬間の表情だけじゃなくて、
じっくり眺めて変化の様子を
観察する必要があるよ
発生母雲(genitus)
巻積雲から発生
(cirrocumulogenitus ; ccgen)
巻積雲の尾流雲(降水すじ)が
成長してできた巻雲
高積雲から発生
(altocumulogenitus ; acgen)
高積雲の尾流雲(降水すじ)が
成長してできた巻雲
積乱雲から発生
(cumulonimbogenitus ; cbgen)
積乱雲のかなとこ雲や多毛雲から
広がってできた巻雲
人為起源雲
(homogenitus ; hogen)
いわゆる飛行機雲のうち、
10分以上継続したもの
変化母雲(mutatus)
巻層雲から変化
(cirrostratomutatus ; csmut)
巻層雲が次第に薄くなり、
雲のすじが、ばらけてできた巻雲
飛行機由来変異雲
(homomutatus ; homut)
飛行機雲が時間とともに変化し、
別な形の巻雲になったもの
 
巻雲が関係する「雲の状態」
雲の状態は、空に浮かぶ雲全体を俯瞰して、記号で表す方法です。
森林に例えると、個々の木について判断するのが十種雲形と細分類なのに対し、
森林全体の状況を総合的に判断するのが「雲の状態」です。

雲の状態では、上層雲(CH中層雲(CM下層雲(CLの3つに分けて表記し、
巻雲は上層雲のひとつとして組み込まれています。

また、下層雲のひとつである積乱雲は、雲の上部に巻雲を生じることが多いため、
下層雲の記号の中にも、巻雲についてふれられているものがあります。

記 号 CH= 説   明
1 毛状またはかぎ状巻雲、空に広がる傾向はない
2 濃密な巻雲または塔状や房状の巻雲、
空に広がる傾向はない
3 積乱雲からできた濃密な巻雲
4 かぎ状または毛状巻雲、またはその共存
次第に空に広がり厚くなる
5 巻雲と巻層雲、または巻層雲のみ、次第に空に広がり厚くなる
連続した層は地平線上45度未満
6 巻雲と巻層雲、または巻層雲のみ、次第に空に広がり厚くなる
連続した層は地平線上45度以上だが、全天は覆っていない
9 巻積雲または巻雲、巻層雲。
そのうち巻積雲が卓越している

記 号 CL= 説   明
9 多毛積乱雲。頂部は巻雲状でかなとこ状のことも多い
無毛積乱雲、積雲、層積雲、層雲があってもよい
2023年8月10日最終更新

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