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トップページ天気のはなし細分類(種)塔状雲
   
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雲の上部が塔のようにもくもくと立ち上がった状態。
何本も立ち上がり、西洋の城壁のような姿になることも多い
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塔状雲の全体的なお話
巻雲や巻積雲、高積雲、層積雲に対して使われる細分類(種)のひとつで、雲の上部が塔のようにもくもくと立ち上がった状態を言います。この雲の塔が何本も立って、まるで西洋の城壁のようなデコボコとした姿になることも珍しくありません。国際名のcastellanusもそれにちなんだものです。

低いところにできる大きな塔状雲は積雲と似ていて、古くは類積雲とも呼ばれていました。ただ塔状雲の雲の塔は、積雲とは異なり、下のほうで横に広がる雲の土台とつながっています(下の項目を参照)。

雲の塔の部分にはピンポイントで発生した上昇気流があります。大気の状態が不安定なときは、この雲の塔が成長して、積雲や積乱雲ができることもあります。

積雲のうち、上に向かってぴよんと細長くのびたものは、古くから塔状積雲と呼ばれています。ただ国際雲図帳の雲分類上では「積雲の塔状雲」というのは使われていないため、塔状積雲という名前を使うときは、その点に留意する必要があります。

塔状雲という名前が初めて登場したのは1879年。LeyによってStratus castellatusとして取り上げられました。ただ現在は層雲の塔状雲というのは使われていません。

1903年にはVincentによって塔状高積雲(Altocumulus castellatus)が提案され、これは1930年版の国際雲図帳にも登場します。

1951年、castellatusという名称は、より語源が適切なcastellanusに置きかえられました。あわせて、そして巻雲、巻積雲、高積雲、層積雲の細分類(種)として適用され、今に至ります。
日本名
塔状雲
とうじょううん
国際名
castellanus cas
語 源
castellumに由来
ラテン語でまたは
要塞都市の外壁の意味
別 名 小立ち雲
類積雲(旧名)
高積雲の塔状雲
塔状高積雲(旧名)
層積雲の塔状雲
積状層積雲(旧名)
十種雲形
との関連
巻 雲
巻積雲
巻層雲
高積雲
高層雲
乱層雲
層積雲
層 雲
積 雲
積乱雲
塔状雲と他の雲との関係
塔状雲は、雲の上部に小さな雲の塔が立ち上がった状態です。

雲の塔は1本ではなく、何本も立ち上がることがありますが、
共通となる雲の土台でつながっているのがふつうです。



何らかの理由で雲の土台部分が消え、
雲の塔が分離して、房状雲へと姿を変えることがあります。

また雲の塔の部分が成長してどんどん大きくなり、
新たな積雲として独立していくことも珍しくありません。
大気の状態が不安定なときは、積乱雲へと発達していきます。
各雲形ごとの説明
巻雲の塔状雲(Cirrus castellanus:Ci cas

巻雲から立ち上がる雲の塔
繊維質で丸みを帯びたような感じをしています。

また雲のすじの上側に小さな雲の塔がびっしり立ち並んで、
もくもくとしたような質感に見える場合もあります。

巻積雲の塔状雲に似ていますが、 巻雲の塔状雲では、
雲の塔の幅がしばしば視半径1度以上になります。
巻積雲の塔状雲雲の塔の幅は必ず視半径1度未満


巻積雲の塔状雲(Cirrocumulus castellanus:Cc cas

巻積雲の塔状雲はひとつひとつの雲の塔がとても小さく、
塔の幅は視半径1度未満です(※)

(※)地平線から30度以上の高度に浮かぶもの

  視半径(見かけの幅)を確認するときは、
腕をまっすぐ伸びして小指を立ててみてね。
小指の幅が視半径約1度だよ

雲の塔が何本も立つときは、
共通する雲の土台でつながっていて、
その上に一列に並んでいるように見えます。

ただ巻積雲の塔状雲はとても小さいため、
肉眼では雲の上部が何となくザラザラあるいは、
デコボコして見えるという程度のことも多いものです。


高積雲の塔状雲(Altocumulus castellanus:Ac cas

雲の上部にもくもくとした雲の塔が立ち上がった状態です。

大気の状態が不安定なときに見られ、
雲の塔が大きく成長して
積雲や積乱雲へと姿を変えることもあります。

雲の塔は1本だけのこともありますが、
ふつうは何本もの雲の塔雲の土台の上に一列に並び、
西洋の城壁のようなデコボコした感じになります。

雲の土台が消えたり、雲の塔の部分が分離したりして、
房状雲(floccus)へと変わっていくこともあります。


層積雲の塔状雲(Stratocumulus castellanus:Sc cas

層積雲の上部がもくもくと立ち上がり、雲の塔ができた状態です。

雲の塔は1本だけのこともありますが、
何本も並んで西洋の城壁のようにデコボコして見えることもあります。

雲の塔の大きさはさまざまで、
何となくザラザラとして見える程度のものから、
とても背が高くなって積雲と見まがうようなものまであります。

大きな雲の塔は、大気の状態が不安定なときに多く、
さらに成長して、積雲や積乱雲へと姿を変えていくことも珍しくありません。

層積雲の塔状雲と積雲は似ている上に、
層積雲の塔状雲から積雲へと移行することも多いため、
両者の線引きが難しいケースもあります。

ただ積雲は、個々の雲が独立しており、
根元が横に長く広がる雲の土台
つながっているということはありません。

層積雲の塔状雲は、
雲の土台が消えたり、雲の塔が分離したりして、
房状雲(floccus)へと変化していくこともあります。
塔状雲のバリエーション
高積雲の塔状雲由来の積雲

高積雲の塔状雲は、雲の塔の部分が成長して
積雲へと姿を変えることがあります。

高積雲2000〜7000mの高さに浮かぶ中層雲であるため、
高積雲から発生した積雲は、
典型的な積雲(雲底の高度2000m以下)よりも高いところにあります。

このようにしてできた積雲は国際雲図帳の表記では
高積雲から発生した積雲
Cumulus altocumulogenitus (略号: Ci acgen
と書きあらわします。
2023年6月1日最終更新

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