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☆わぴちゃんのブログ☆
草花・昆虫、雲の話題など、
「身近な自然の小さな発見」を
テーマに頑張ってます☆★
積乱雲【せきらんうん】

俗 称 かみなり雲/ライサマ
英 名 
thunder cloud/thunderhead
国際通用名 Cumulonimbus (略号:Cb)

発生高度 500m〜13,000(対流雲)
構成粒子   
※衰弱期、雲頂付近は氷晶になる
わぴちゃん流
遭遇率
関連する
現象など
  
※雷を伴った激しい雨をもたらす
※ときに、竜巻などの突風、ひょうも。
色あい 白色〜暗い灰色/雲の底は真っ黒
形 状 とても背が高くそびえ立つような雲
幅は十数km程度
おもな
出現条件
寒冷前線 大気の状態が不安定なとき
台風接近時 冬型の気圧配置 など



無毛雲 多毛雲
変 種 --
副変種 ずきん雲 ベール雲 尾流雲 アーチ雲 
ちぎれ雲 漏斗雲 降水雲 乳房雲 かなとこ雲
積乱雲の周りでは珍しい雲や気象現象の宝庫ですが、
と同時に、激しい現象を引き起こす怖い雲です。

日本付近に通常雨を降らす温帯低気圧が
主に乱層雲から構成されているのに対して、
台風は積乱雲が集まってできたものです。
また、集中豪雨の犯人であるテーパリングクラウド
積乱雲が次々とわいたものです。

2008年に各地で猛威を振るった
都市型豪雨も
この積乱雲の仕業だよ(>ω<。)



【写真1】積乱雲の典型的な姿(2006年7月14日千葉県野田市)



【写真2】2008年8月末豪雨の原因となった(2008年8月29日千葉県野田市)


積乱雲内では、強い上昇気流によって急激に、
かつ大量に発生した「あられ」と呼ばれる氷の粒が激しくぶつかり合うので、
その時に発生した静電気が大量に蓄積され、限界を超えると放電します。
これが雷で、積乱雲が別名
雷雲と呼ばれるゆえんです。


【写真3】雷は積乱雲によって生じる。(2006年5月30日・千葉県野田市)


夏の夜は、遠くの積乱雲が、
自身が放出する雷光によって
雲全体がぼんやりと光るよ。
これを幕電というのだ☆


【写真4】幕電によってぼんやり光る遠くの積乱雲(2008年8月15日・千葉県野田市)

積乱雲は、上昇気流によって背がどんどん高くなりますが、
高度約10km付近にある対流圏界面を超えることはできません。
そのため、てっぺんが対流圏界面に達した場合、
今度は横にすーっと広がります。それがかなとこ雲です。

【写真5】上部で水平に広がるかなとこ雲(2008年7月13日千葉県野田市)

あちこちに入道雲が立つような大気の状態が不安定なときに、
異様に丸く薄い雲が空の半分以上を覆った場合、
発達した積乱雲が近づいて来ていて、先行的に水平に広がる
上空のかなとこ雲がかかっている可能性が高いです。

【写真6】先行してかなとこ雲がかかった空(2008年7月29日千葉県野田市)

そして、成熟し切った積乱雲は次第に毛羽立つようになり、
衰退期へと入ります。これが多毛雲または多毛積乱雲と呼ばれるもので、
けばけばの正体は積乱雲から吹き出す氷の粒でできた巻雲です。

【写真7】もくもく感が失われ毛羽立った積乱雲(2007年8月20日千葉県野田市)


夏の夕方、写真6、写真7のような
雲が見えたら、
夕立の可能性があるので
気をつけようね。


単発的に発生した積乱雲の場合は、
多毛積乱雲になると、次第に衰退し、やがて消滅します。
その際に、巻雲が残ることがあります。

しかし、積乱雲が発達する条件がそろっているように場合は、
1つの積乱雲が衰退期に入った後も、
次々と新しい積乱雲がわき、それらが
まるで1つの生き物のような振る舞いを呈して、
長い時間激しい雨をもたらします。
これを
組織化された対流セルと言います。


水蒸気量の多い夏場に発達することが多く、夏の雲というイメージが強い雲ですね。
しかし、日本海側ではむしろ、冬のほうが多く出現します。
冬型の気圧配置で気象衛星に現れる俗に言う「筋状の雲」は
雄大積雲や積乱雲がたくさん集まってできているのです。


▲冬型時の「筋状の雲」(2005年1月1日14時) ※高知大学気象情報頁 提供


日本海側の各地で雪が降る前に
雷が鳴るのは有名で、
「雪起こし」や「ぶり起こし」と呼ばれているよ★


なお、日本海側で発生した積乱雲は、背が低いため、脊梁山脈をこえられず、
太平洋側にまで到達することは稀です。太平洋側にまで積乱雲が到達する場合は、
よほど寒気が強いと考えられます。

【写真8】脊梁山脈を越えられない冬の積乱雲(2006年12月29日・宮城県村田町)



【写真9】冬の積乱雲は背が低い。(2005年2月1日・東京都練馬区)

夏場の積乱雲は雷をたくさん落としていきます。
一方、冬の積乱雲は
一発雷とよばれ、
「1回だけドスン」で終わるタイプが多いといわれています。
夏の雷よりも、冬の「この1回だけドスン」の方が
強いエネルギーを持っているといわれています。

また、積乱雲によって得意分野があり、
雨よりも雷をごろごろ鳴らす「雷系」、
雷よりも雨をたくさん降らす「豪雨系
雷、雨ともにすごい「強力系
突風や竜巻、暴風など強い風を吹かせる「風系」、
被害が出るほどひょうを降らせる「ひょう系」、
日本海側に多量の雪を降らす「豪雪系」・・・。
わぴちゃんが見ている範囲ではこんな感じに個性が豊かです。

オレンジはわぴちゃんが勝手に命名したもので、
学術用語としては認められていません。



【写真10】積乱雲からの豪雨が遠くから見える(2004年7月15日東京都練馬区)

また、積乱雲の周りにはさまざまな付随雲(おまけな雲)が現れ、
それらは「副変種」としてまとめられています。

【写真11】雲底に現れた付随雲の1つ。「乳房雲」(2006年11月15日茨城県坂東市)


【写真12】雲頂にあらわれた「ずきん雲」(2006年8月19日千葉県野田市)


2014年6月6日最終更新
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