着氷現象とは？

さまざまなものに氷が付着する現象をまとめて
着氷（ice acceretion）と言います。

代表的な着氷現象として、空気中の水蒸気が凍りつく樹霜、
過冷却状態の微細な水滴（雲や霧の粒）が凍りつく樹氷や粗氷、
過冷却状態の雨粒が凍りつく雨氷が挙げられます。

そのうち、樹霜、樹氷、粗氷の3つは
まとめて霧氷（rime / fog deposit）と呼ばれています。

なお「蔵王の樹氷」は、ただの樹氷ではなく、
樹氷が雪を取り込みながら大きくなっていったもので、
その見た目からアイスモンスター（ice monster）と呼ばれています。

また、湖の波打ち際や、滝、渓流などの
水しぶきがはねる場所では、それが周囲に凍りつきます。
これを飛沫着氷（ice-coated vegetation）またはしぶき氷と言います。

気温がとても低いときは、雨や霧、
波しぶきなどが船に凍りつくことがあります。
これが船体着氷（ship icing）で、
船の転覆や沈没を引き起こすおそれがあります。

着氷が原因で送電線が切れたり、 船体着氷のおそれがあるときは、 気象庁から着氷注意報が発表されるよ また船舶向けの海上警報として、 海上着氷警報も発表されるよ

樹霜、樹氷、粗氷、雨氷の英名について

樹霜、樹氷、粗氷、雨氷の4つの現象は、
国内の各種文献で紹介されている英語表記と、
国際雲図帳2017とでは、ちがいがあるように見受けられます。

以下、それについて表形式でまとめてみます。

和 名	国内文献の 英語表記	国際雲図帳2017
樹霜	air hoar	soft rime
樹氷	soft rime	hard rime
粗氷	hard rime	clear ice
雨氷	clear ice／glaze	glaze

国際雲図帳2017のほうに記した英語表記は、
わぴちゃんが原著をもとに作成したものです。

「あおぞら☆めいと」内では、基本的に国際雲図帳2017の
表記に合わせるかたちにしていきたいと思います。

まだ調査段階ですので、万一誤りがあるようでしたら
ご一報いただければと思います。

着氷現象のうち、霧氷と呼ばれる3種類の現象は以下のとおりです。
リンクをクリックするとそれぞれの解説ページに飛びます。

霧氷の種類
名称／ 英語名	別名など	備　　考
樹霜 soft rime	木花	大気中の水蒸気が凍りついてできた氷の結晶。樹木など高いところに凍りつく
樹氷 hard rime	えびのしっぽ	過冷却状態の雲粒や霧粒が凍りついてできた、白くてもろい氷
粗氷 clear ice		過冷却状態の雲粒や霧粒が凍りついてできた、半透明～透明のかたい氷

霧氷以外の着氷現象は以下のとおりです。
リンクをクリックするとそれぞれの解説ページに飛びます。

名称／ 英語名	別名など	備　　考
雨氷 glaze		過冷却状態の雨粒が凍りついてできた透明でかたい氷
飛沫着氷 ice-coated vegetation	しぶき氷	湖や滝、渓流などの水しぶきが樹木などに凍りついてできた、かたい氷
アイスモンスター ice monster	雪の坊 スノーモンスター	樹氷が雪を取り込みながら成長し、大きなかたまりのようになったもの

着氷現象に関する大気現象記号

着氷現象に関係する大気現象記号を紹介します。
これらの記号は、世界気象機関（WMO）の国際雲図帳2017年版と、
気象庁（日本）の地上気象観測指針に掲載されています。

ただし現象の種類によっては、
国際雲図帳（WMO）と地上観測指針（気象庁）とで、
記号や意味に以下のようなちがいが見られるので、
利用の際は注意が必要です。

記　　号		和名／ 国際名	説　　　　　明
気象庁	WMO
－		移流による霜 advection hoar frost	温泉の湯気など、暖かく湿った空気が流れこむ場所で成長した霜の結晶
		霧氷 rime / fog deposit	樹霜、樹氷、粗氷の3つを総称したもの
		樹霜 soft rime/air hoar	大気中の水蒸気が昇華してできた氷の結晶。樹木など高いところに凍りつく
		樹氷 hard rime	過冷却状態の雲粒や霧粒が凍りついてできる、白くてもろい氷で、しばしば「エビのしっぽ」のような形になる
		粗氷 clear ice	過冷却状態の雲粒や霧粒が凍りついてできる半透明～透明のかたい氷
		雨氷 glaze	過冷却状態の雨粒が凍りついてできる透明のかたい氷。つららがよく垂れ下がる
		着氷性の雨 supercooled rain	０℃未満で降る雨。雨氷を引き起こす
		着氷性の霧雨 supercooled drizzle	０℃未満で降る霧雨。雨氷を引き起こす