降水現象とは？

大気現象は大きく次の４つに分けられます。

	おもに関係するもの	おもな現象の例
大気水象 hydrometeors	水	雪氷現象、降水現象、 霧、露 など
大気光象 photometeors	光	ハロ、光環、彩雲、 虹、薄明光線 など
大気じん象 lithometeors	ちりやほこりなど 乾燥した微粒子	煙霧、黄砂、風じん、 降灰、じん旋風 など
大気電気象 electrometeors	大気中の電気	雷、エルモ火 など

そのうち空気中の水のふるまいによって起こる現象を
まとめて大気水象（hydrometeors）と言います。

大気水象はさらに以下の5つのタイプに分けられます。

	おもな現象の例
浮遊する suspended particles	霧、もや、氷霧 など
落ちてくる falling particles/precipitation	雨、着氷性の雨、霧雨、着氷性の霧雨、 みぞれ、雪、霧雪、雪あられ、氷あられ ひょう、凍雨、細氷 など
風で飛ばされる particles raised by the wind	地ふぶき、しぶき、 スノーデビル、スチームデビルなど
付着する deposits of particles	露、凍露、霜、霧氷、雨氷 など
竜巻 spout	トルネード、陸上竜巻、 海上竜巻、漏斗雲 など

そのうち落ちてくる…つまり、降水現象についてはこちらを、
また雪氷に関する現象についてはこちらをご覧ください。

ここでは霧や露など、降水、雪氷現象以外の大気水象について紹介します。

大気水象（降水・雪氷現象以外）について調べる

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■水や氷の粒がただよう（Suspended particles）
現象名（日本名） ／英名など	説　明	備　考
霧 fog	空気中に大量の水滴が漂って、見通しが悪くなった状態。	視程1km未満
低い霧 low fog	高さ数m程度の比較的薄い霧	目線の高さの 視程は1km未満
地霧 shallow fog	地面付近に霧がある状態	目線の高さの 視程は1km以上
もや mist	空気中に大量の水滴が漂って、空がかすんで見える状態	視程1km以上 10km未満
スモッグ smog	霧と煙霧が同時に発生した状態	-
氷霧 ice fog	空気中に大量の氷晶が漂って、見通しが非常に悪くなった状態	目線の高さの視程は ふつう1km未満
霧の分類について詳しくはこちら（旧ページ）

■水や氷の粒が降ってくる（Falling particles / Precipitation）

降水現象についてはこちら

■風で巻き上げられる（Particles raised by the wind）
現象名（日本名） ／英名など	説　明	備　考
低い地ふぶき drifting sonw	地面に積もった雪が風で巻き上げられる	目線の高さの視程は 比較的良い
高い地ふぶき blowing snow	地面に積もった雪が風で高く巻き上げられる	目線の高さの視程は 非常に悪い
ふぶき snow storm	「高い地ふぶき」が発生し、さらに雪が降っている状態	-
スノーデビル snow devil	雪面で雪を巻き上げながら渦を巻くように吹く風。つむじ風の一種	-
スチームデビル steam devil	蒸気霧の発生している場所で、霧が渦を巻いて柱状に立ち上がる現象	-
しぶき spray	湖や海などの波しぶきが風で吹き飛ばされ、見通しが悪くなった状態	台風など広域で吹く風に伴い、視程が悪くなった場合に記録
波の花 sea foam	荒れた水面で波が泡立ち、その泡が風とともに飛ばされてくる状態	冬の日本海に多い

■水や氷が付着する（Deposits of particles）
現象名（日本名） ／英名など	説　明	備　考
露（朝露） dew/dew proper	空気中の水蒸気が冷やされて、水となってあちこちに付着する現象	-
霧による水滴 deposit of fog droplets	霧が出ているとき、その霧粒の付着によってできた水玉	-
移流露 advection dew	暖かく湿った空気が、表面が冷えた物体にふれるときにできる水滴	-
露玉（溢液） guttation droplets	植物の葉から排出された水分によってできた水玉	植物の生理現象で大気現象ではない
樹雨 -	木々に付着した霧粒がしずくとなって、雨のようにポタポタ落ちてくる状態
露時雨 -	木々の葉についた雨滴などの水滴が、強い風にあおられていっせいに落下する状態
結露 dew condensation	冬季、窓辺が水で濡れる現象。室内の暖かく湿った空気が、窓辺で冷やされて、水蒸気が凝結するのが原因
霜に関する現象はこちら
着氷に関する現象はこちら

■竜巻（Spout）
現象名（日本名） ／英名など	説　明	備　考
竜巻（トルネード） tornado	非常に発達した積乱雲がもたらす激しい風の渦巻。ふつう壁雲やメソサイクロンを伴う	スーパーセルに伴う
陸上竜巻 land spout	壁雲やメソサイクロンとは関係なく発生する、比較的規模の小さな竜巻	スーパーセル以外の積乱雲、または積雲による竜巻
寒気に伴う漏斗雲 cold air funnel	上空に強い寒気が流れこんできたときに見られる漏斗雲。ふつう地面には届かない	ときに地面に到達するが、規模は小さい
海上竜巻 waterspout	海や湖など、開けた水面上に発生する。回転する空気の柱で風は比較的弱い	-

大気水象に関する記号

大気水象のうち、降水現象と雪氷現象以外の
ものを表す記号を紹介します。
これらの記号は、世界気象機関の国際雲図帳2017年版と、
気象庁（日本）の地上気象観測指針に掲載されていて、
その種類と意味はおおむね統一されています。

ただし「低い霧」と「地霧」、それから「ふぶき」は
国際雲図帳2017年版には掲載されていません。

一方、国際雲図帳2017年版では、露などの水滴に関する現象が、
気象庁の地上気象観測指針よりも詳しく定義されています。

記号	和名／ 国際名	説　　明
	霧 fog	微細な水滴が漂って、目線の高さの視程が1km未満になった状態	●	●
	低い霧 low fog	高さ数m程度の比較的薄い霧。目線の高さの視程は1km未満	●	-
	地霧 shallow fog	地面付近にのみ現れた霧。目線の高さの視程は1km以上	●	-
	氷霧 ice fog	微細な氷晶が漂って著しく見通しが悪くなった状態	●	●
	もや mist	微細な水滴が漂って、空がかすんだ状態。視程1km以上	●	●
	地ふぶき drifting and blowing snow	地面の雪が風で巻き上げられた状態の総称。「高い地ふぶき」と「低い地ふぶき」に分けられる	●	●
	低い地ふぶき drifting snow	地面に積もった雪が風で巻き上げられる。目線の高さの見通しに影響はない	●	●
	高い地ふぶき blowing snow	地面に積もった雪が風で高く巻き上げられ、見通しが非常に悪くなる	●	●
	ふぶき snow storm	「高い地ふぶき」が発生し、さらに雪が降っている状態	●	-
	しぶき spray	湖や海などの波しぶきが風とともに舞い、見通しが悪くなった状態	●	●
	霧による水滴 deposit of fog droplets	霧粒の付着によってできた水滴	-	●
	露（広義） dew	空気中の水蒸気が冷やされて、水として付着する現象。「狭義の露」と移流露の２つに分けられる	-	●
	露 dew proper	朝の冷え込みで、空気中の水蒸気が水となってあちこちに付着	●	●
	移流露 advection dew	表面が冷たくなった物体に向かって、比較的暖かく湿った空気が流れ込んだときにできる水滴	-	●
	竜巻 spout	発達した積乱雲に伴って発生する激しい風の渦巻	●	●

大気水象と天気との関係

雲の種類や量、風、降水、大気現象、視程など、
気象観測によって得られるさまざまな要素。
これらをもとにして大気の状態を総合的に判定したものが天気です。

天気の分類にはいくつか考え方がありますが、以下の3つが代表的です。

	主な用途や特徴	種類数
気象庁天気種類表	現場で使いやすいよう15種類に厳選	15
日本式天気記号	ラジオの気象通報用に特化。 日本では一般でも広く使われる	21
国際式天気記号	国際基準の地上気象観測に 基づき天気を細かく記録	100

国内で主に使われるのは気象庁天気種類表と
日本式天気記号による天気の表記です。
ただ両者は天気の定義に若干のちがいがありますので、注意が必要です。

以下、大気水象のうち、
降水現象、雪氷現象以外のものと天気の関係を示します。
なお国際式天気記号については、こちら（※作成中）をご覧ください。

気象庁天気種類表
No.	記　号	天　気	解　説
7		地ふぶき	高い地ふぶきがあり、視程1km未満
8		霧	霧、または氷霧があり、視程1km未満
雪、あられなどの降水現象はこちらへ

日本式天気記号
記　号	天　気	解　説
	霧	霧、または氷霧で視程1km未満
	地ふぶき	積雪が風で巻き上げられ、視程1km未満
雪、あられなどの降水現象はこちらへ