サイト概要 サイトマップ 著作権・引用・リンク お問い合わせについて

トップページ天気のはなし類(十種雲形)巻層雲
   
最新情報はツイッター
ブログなどもご確認ください。


 
 
 
 

各種お問い合わせは
メール
でお願いいたします。
こちらもご一読ください。
薄いベール状の雲で輪郭がはっきりせず、
空が白くかすんで見える。ふつうハロを伴う。
もっと写真を見る(※作成中)
 
巻層雲の全体的なお話
対流圏上層(5,000〜13,000m)に浮かぶ、氷晶からなる雲です。空の広範囲を覆うベールのような薄い雲で、輪郭がぼんやりとしているため、どこからどこまでが雲なのか、その境界はあいまいです。その姿から「うすぐも」の俗称でも呼ばれています。

雲は白色〜灰色で、特に薄いものは青空が透けて見えるため、雲というよりは、空に霞がかかっているような感じがします。巻層雲自体に陰影はありませんが、巻層雲がスクリーンの役目を果たして、別な雲の影が写りこんで暗く見えることがあります。

雲を通しても太陽はまぶしい輝きを保ち、地面にはしっかりと影ができます。次第に厚みを増して高層雲へと姿を変えることもあります。

バリエーションに乏しく、細分類も4種類しかありません。ときに繊維状の構造が見られたり、しま模様になったりすることもあります。ただ模様のコントラストは弱く、どこかぼんやりとした感じがします。

巻層雲の最大の特徴は何と言ってもハロを伴うことです。巻層雲は模様やメリハリの少ない均一な雲であるため、ハロの形も鮮明に見えることが多いものです。ただし雲と太陽の位置関係など、条件によってはハロが出ないこともあります。

「太陽がかさをかぶると雨」ということわざがありますが、この「かさ」は、ハロの一種の内がさ(22度ハロ)です。これは巻層雲出現時には高い確率で見られるハロです。巻層雲は低気圧接近時に、巻雲とともにいち早く現れる雲であるため、このことわざはわりと高い確率で適中します。

昭和40年1月1日から昭和63年4月1日にかけては巻積雲を絹積雲と表記しました。これは戦後行われた漢字の整理によって作成された「当用漢字表」で、一時的に巻を「ケン」と読むことができなくなったのが理由です。
日本名
巻層雲 けんそううん
俗 称 うすぐも
別 名 →別ページへ(※作成中)
国際名
Cirrostratus Cs
高 度
5,000-
13,000
m
極域
3,000-8,000m
熱帯
6,000-18,000m
色の幅
陰 影 なし
雲の粒
氷晶 氷粒 水滴
光の
現象
ハ ロ
光 環
彩 雲
降 水
霧 雨
霧 雪
雪あられ
ひょう
氷あられ
凍 雨
発 雷
巻層雲の細分類について 
巻層雲には、2つの種(毛状雲、霧状雲)
2つの変種(二重雲、波状雲)の存在が認められています。
補足雲形と付属雲はありません。

  巻層雲そのものはパッとしないけど、
その代わり、見事なハロを
見せてくれる可能性があるよ

以下、それぞれの雲の名前の横にあるマークをクリックすると
各細分類のページに飛びます(※マークの無いものは準備中)
種(specia)
毛状雲(fibratus)
雲に繊維状の模様が入って見える。
すじはぼやけて薄紙のように見える
霧状雲(nebulosus)
輪郭や模様がはっきりせず、
全体的にぼやけたような感じの雲
変種(varieties)
二重雲(duplicatus)
異なる高さの場所に現れた雲が
重なって見える状態
波状雲(undulatus)
しま模様になった状態。
薄紙にしわが寄ったように見える
補足雲形(supplementary features)
※なし 
付属雲(accessory clouds)
※なし 
 
巻層雲の母雲とSpecial clouds
巻層雲の発生母雲になるものとして、
巻積雲、積乱雲が認められています。

巻積雲は、小雲から氷晶が落下することがあり、
その氷晶が薄く広がった結果、巻層雲ができることがあります。

また積乱雲の上部で、かなとこ雲が大きく広がり、
そこからさらに薄くのびて巻層雲ができることもあります。

ただいずれもかなり稀なものと考えられます。

変化母雲になるものとして巻雲、巻積雲、高層雲が挙げられています。

巻雲や巻積雲は、離ればなれだった雲すじや小雲が次第に融合して、
薄く広がって輪郭がぼやけ、巻層雲へと変化することがあります。

また高層雲が次第に薄くなって巻層雲へと変化することがあります。
これはおそらくそこそこの頻度で発生していると考えられますが、
たまたまパッと見上げたときに見えるものが
それかどうかを判別するのはなかなか大変です。

それから、special cloudsとして、
飛行機由来変異雲(homomutatus ; homut)が挙げられています。

これは飛行機雲(人間活動に伴って発生した巻雲)が
時間とともに巻層雲へと変化していったものを指します。

以下、それぞれの雲の名前または写真をクリックすると
各細分類のページに飛びます(※準備中)
発生母雲(genitus)
巻積雲から発生
(cirrocumulogenitus ; ccgen)
巻積雲から落下した氷晶が
薄く広がってできた巻層雲
積乱雲から発生
(cumulonimbogenitus ; cbgen)
積乱雲のかなとこ雲が
大きく広がってできた巻層雲
変化母雲(mutatus)
巻雲から変化
(cirromutatus ; cimut)
巻雲の雲のすじが、次第に融合し
巻層雲へと変化していったもの
巻積雲から変化
(cirrocumulomutatus ; ccmut)
巻積雲の小雲が次第に融合し、
巻層雲へと変化していったもの
高層雲から変化
(altostratomutatus ; asmut)
高層雲が次第に薄くなり、
巻層雲へと変化したもの
飛行機由来変異雲
(homomutatus ; homut)
飛行機雲が時間とともに変化し、
巻層雲になったもの
 
巻層雲が関係する「雲の状態」
雲の状態は、空に浮かぶ雲全体を俯瞰して、記号で表す方法です。
森林に例えると、個々の木について判断するのが十種雲形と細分類なのに対し、
森林全体の状況を総合的に判断するのが「雲の状態」です。

雲の状態では、上層雲(CH中層雲(CM下層雲(CLの3つに分けて表記し、
巻層雲は上層雲のひとつとして組み込まれています。

雲の状態の符号のうち、巻層雲についてふれられているのは、
CH-5CH-6CH-7CH-8CH-9の5つです。

記 号 CH= 説   明
5 巻雲と巻層雲、または巻層雲のみ、次第に空に広がり厚くなる
連続した層は地平線上45度未満
6 巻雲と巻層雲、または巻層雲のみ、次第に空に広がり厚くなる
連続した層は地平線上45度以上だが、全天は覆っていない
7 巻層雲、全天を覆う
8 巻層雲は全天を覆っていない
広がる傾向もない
9 巻積雲または巻雲、巻層雲。
そのうち巻積雲が卓越している
2023年5月28日最終更新

Copyright (C) 2002- wapichan(Hideaki Iwatsuki), All rights reserved.