ロール雲の全体的なお話
高積雲と層積雲に対して使われる細分類(種)のひとつで、国際雲図帳2017年版で、新たに追加されました。
現時点では正式な定義された和名はありませんが、雲の和名WG2021によってロール雲という名前が提唱されており、ここでもそれを採用しています。
水平方向を軸にゆっくりと回転する気流がつくりだす雲で、円柱を横倒しにしたような形をしています。
ロール雲には、
(1)風の収束や山岳波によるもの
(2)アーチ雲に似たもの
の2つのタイプがあります。
(1)は国際雲図帳に正式に記載される以前から、ロール雲(roll cloud)と呼ばれていたものです。山岳波に伴ってできる場合は、雲のロールが何本も並ぶこともあります。
海外では、風の条件によって稀に見られる特殊なロール雲があり、モーニンググローリー(morning glory)と呼ばれています。
(2)は積乱雲の降水域の境目にできることが多く、これまではアーチ雲(arcus)と区別されていませんでした。しかし国際雲図帳2017年版では、アーチ雲とは別のものとして扱うのが好ましいとして、分けられることになりました。
アーチ雲が積乱雲の雲底に接し、降水域と対応するように移動するのに対し、ロール雲は積乱雲の雲底に接しておらず、ふつう降水域から離れるように動いていきます。
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日本名 |
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国際名 |
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語 源 |
volutus |
ラテン語で回転
または転がるの意味 |
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別 名 |
混軸積雲(旧名)
混軸状層雲(旧名)
積乱雲近くにできる |
帯紐雲(旧名)
陣風雲(旧名) |
海陸風に伴う |
モーニンググローリー |
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十種雲形
との関連
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巻 雲 |
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巻積雲 |
− |
巻層雲 |
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高積雲 |
○ |
高層雲 |
− |
乱層雲 |
− |
層積雲 |
○ |
層 雲 |
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積 雲 |
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積乱雲 |
− |
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